感染症エクスプレス@厚労省
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メールマガジンのバックナンバーです。

2024-09-27

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃
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                       ┃@┃厚┃労┃省┃
                        ┗━┻━┻━┻━┛ Vol.522(2024年9月27日)


■ヘッドライン■□■□■□■
  【トピックス】 
◆マイコプラズマ肺炎の発生状況とリスク評価
◆9月24日〜30日は「結核・呼吸器感染症予防週間」
◆9月28日は「世界狂犬病デー」
◆厚生労働省検疫所 検疫医療専門職(医師)・検疫官(看護師)の募集中
【新型コロナウイルスについて】
【風しんの追加的対策】
【お役立ちリンク集】
【SNSにおける情報発信】
【IDSEコラム】
◆国際移住機関(IOM)での海外研修 ・・・ IDES養成プログラム 9期生 安里 晨
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 トピックス	 
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◆マイコプラズマ肺炎の発生状況とリスク評価
第37週(9月9日〜9月15日)の定点当たりの報告数は1.41と前の週の1.22からさらに増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い状況で推移しています。  
マイコプラズマ肺炎は長引く頑固な咳が特徴です。手洗い、咳エチケット等の感染対策に留意ください。 
今般、国立感染症研究所においてリスク評価を実施し、公開しましたので是非ご参照ください。 
 
・マイコプラズマ肺炎とは(厚生労働省) 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mycoplasma.html 
・マイコプラズマ肺炎の発生状況(国立感染症研究所 2024年9月19日公開) 
https://www.niid.go.jp/niid/ja/mycoplasma-pneumonia-m/2662-cepr/12869-mycoplasma-2409.html 
・IDWR 2024年第35号<注目すべき感染症> マイコプラズマ肺炎 (国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/mycoplasma-pneumonia-m/mycoplasma-pneumonia-idwrc/12871-idwrc-2435.html 

◆9月24日〜30日は「結核・呼吸器感染症予防週間」
結核は、今でも年間10,000人以上の新しい患者が発生し、1,500人以上が命を落としている日本の代表的な感染症の1つです。
結核は早期発見が重要です。せき・たんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続いたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、今般、新型コロナウイルス感染症をはじめとした呼吸器感染症の脅威が再認識されています。
呼吸器感染症が例年流行する秋・冬前だからこそ、マスク着用を含む咳エチケット、手洗い・手指消毒、換気など基本的な感染対策を心がけましょう。
厚生労働省では、9月24日〜30日の「結核・呼吸器感染症予防週間」にあわせて、結核・呼吸器感染症の予防啓発のポスターとリーフレットを作成いたしましたので、是非ご活用いただき、引き続き、結核・呼吸器感染症の対策にご協力をいただければと思います。

・結核について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html
・令和6年度版ポスター「結核はまだまだ身近な病気です」「予防しよう身近な呼吸器感染症」
https://www.mhlw.go.jp/content/001139720.pdf
・令和6年度版リーフレット「結核はまだまだ身近な病気です」「予防しよう身近な呼吸器感染症」
https://www.mhlw.go.jp/content/001141314.pdf
・結核とは(国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/tuberculosis.html

◆9月28日は「世界狂犬病デー」
狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅した日本。しかし日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、万一の侵入に備えた対策が重要となっています。
・狂犬病とは(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

◆厚生労働省検疫所 検疫医療専門職(医師)・検疫官(看護師)募集中
検疫所では専門科や経験年数等が異なる様々なバックグラウンドを持った医師や看護師が働いています。
感染症の水際対策にご関心がある方のご応募をお待ちしております。 
各検疫所の見学も随時受け付けております。募集の詳細については以下のリンクをご参照ください。 
<検疫医療専門職(医師)採用情報> 
https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/keneki.iryo.html 
<検疫官(看護師)採用情報> 
https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/keneki.html 


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  新型コロナウイルスについて 
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2024年第38週(9/16〜9/22)における定点あたりの報告数は、4.35(報告数 21,400人)でした。
◆報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/001308703.pdf

◆発生状況等
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00461.html


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 風しんの追加的対策	 
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◆風しんの追加的対策へのご協力のお願い
2018年は、第52週(12月24日〜12月30日)までに2,941例の届出があり、そのうち、2,881例は7月23日以降の報告でした。(確定値)
2019年は、第52週(12月23日〜12月29日)までに2,298例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。(確定値)
2020年は、第53週(12月28日〜翌年1月3日)までに101例の報告があり、患者の約7割は男性でした。(確定値)
2021年は、第52週(12月27日〜翌年1月2日)までに12例の報告があります。(確定値)
2022年は、第52週(12月26日〜翌年1月1日)までに15例の報告があります。(確定値)
2023年は、第52週(12月25日〜12月31日)までに12例が報告されています。
2024年は、第37週(9月9日〜9月15日)までに5例が報告されています。
<風疹 発生動向調査> 2024年第37週(’24/9/18現在)
https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/rubella/2024pdf/rube24-37.pdf


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 お役立ちリンク集	 
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◆IDWR 2024年第36週(第36号)(2024年9月24日)
<第36週>マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。過去5年間の同時期の平均と比較してかなり多い/その他最新動向
<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2024.html.html
  
◆IASR  Vol. 45, No.9 (No. 535)  (2024年9月発行)
特集は「麻疹 2024年7月現在」です。
関連情報として、「近年のわが国における麻疹の発生動向」などを取り上げています。
<IASR(病原微生物検出情報 月報)>
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/iasr/45/535.pdf

◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2024年9月27日)
2024年第38週(9月16日〜9月22日)のデータを公表しました。
全国の定点医療機関当たり報告数は0.55となり、前週の0.51よりも増加しました。
<インフルエンザに関する報道発表資料 2024/2025シーズン>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou_00018.html

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報(2024年9月19日掲載) 
エムポックス−アフリカ地域
https://www.forth.go.jp/topics/2024/20240919_00001.html


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 SNSにおける情報発信 
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厚生労働省公式アカウント<X(旧Twitter)、Facebook>において、新型コロナウイルスをはじめ、感染症に関するSNSを発信しています。ぜひご登録ください。 
X(旧Twitter):https://twitter.com/MHLWitter 
Facebook:https://m.facebook.com/Mhlw.Japan 

◆インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移 
2024年9月27日(金) 
https://x.com/MHLWitter/status/1839545734166983027

◆9月28日は「世界狂犬病デー」
2024年9月27日(金)
https://x.com/MHLWitter/status/1839590962709889045

◆気になる感染症対策|マイコプラズマ肺炎、手足口病
2024年9月25日(水) 
https://x.com/MHLWitter/status/1838737728093196415

◆「結核・呼吸器感染症予防週間」
2024年9月24日(火)
https://x.com/MHLWitter/status/1838413660655620555


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 IDESコラム 
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◆vol.80「国際移住機関(IOM)での海外研修」

IDES養成プログラム 9期生の安里 晨(あさと・しん)です。
2024年4月から2025年3月までの1年間、国際移住機関 アジア太平洋事務局(International Organization for Migration, Regional Office for Asia and the Pacific)にて勤務・研修しています。IDES養成プログラムの海外研修については、具体的な内容が分かりにくいかもしれませんので、このIDESコラム9月号では、私が現在研修している国際移住機関(IOM)や、ここでの業務内容についてご紹介したいと思います。

1.国際移住機関(IOM)について
本機関は、1951年に設立された欧州移民移動政府間委員会を前身とし、当初は欧州からラテンアメリカ諸国への移住を支援していました。その後、活動範囲が徐々に世界中に拡大し、いくつかの名称変更と1989年の憲章改正を経て、現在の国際移住機関(International Organization for Migration )となりました。2016年に開催された「難民と移民に関する国連サミット」の際に、国連の関連機関となりました。IOMの本部はスイスのジュネーブにあり、世界9ヵ所に地域事務所を構え、100ヵ国以上にフィールド事務所を持っています。IOMの職員数は約2万人に達し、加盟国は175ヵ国にのぼります。また8カ国がオブザーバー資格を有しています。日本は1993年に加盟しました(参考文献1、2)。
IOMに関するより詳しい情報は、IOMの公式 ホームページや月刊IOMなどで確認できます。(参考文献1〜5)。

2.国際移住機関(IOM)での活動について
私は現在、タイ・バンコクに拠点を置くアジア太平洋事務局のMigration Health Division (MHD)に所属し、主に公衆衛生の分野に携わるチームで勤務しています。このチームはオーストラリア人の上司を中心に、イギリス、トルコ、タイ、マレーシア、香港出身のメンバーで構成されており、国際色豊かな環境の中、和気あいあいとした雰囲気で業務に取り組んでいます。
私が担当している主な業務は、TEAM2(Tuberculosis Elimination Among Migrants)プロジェクトのサポートです。このプロジェクトは世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)からの資金提供を受け、様々なレベルのパートナー機関と連携しながら、IOM アジア太平洋地域事務所が主導する3 年間(2022年1月〜2024年12月)のプロジェクトです。対象国は大メコン圏に位置するタイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオスの5か国で、国境を越える移民、帰還者、難民、国内避難民といった脆弱な集団を対象としています。このプロジェクトでは、見逃されている結核症例に焦点を当て、移民における負担の軽減を図り、最終的にはこの大メコン圏全体での結核撲滅を目指しています。
プロジェクトの実績として、2022年1月から2023年12月の2年間で、128,735名に対してヘルスエデュケーションを提供し、101,920名を対象に結核スクリーニング検査を実施、そのうち9,180名が結核と診断されました。今年はプロジェクトの最終年であり、2024年9月末現在、シームレスな出口戦略の検討を進めています(参考文献6、7)。

私はこのプロジェクトの一環として、データの分析や評価、成果物の文書化支援、ワークショップの企画や運営を通じた医療関係者やパートナー機関とのネットワーク構築に取り組んでいます。また、ベトナムのハノイ市にある国立肺病院や、ベトナム・カンボジア国境沿いのタイニン省のコミュニティベースのヘルスセンターを訪問し、地域レベルの取り組みのモニタリングや評価を通した技術的支援を行いました。さらに、結核に罹患した移民に対する誤解や偏見を払拭するため、移民、職場、雇用主、医療関係者向けに正しい知識や治療の重要性を伝える資材を作成し、2024年6月にIOM ウェブサイトで公開しました。「You are my Heroes!」というタイトルのこの資材は、アニメーション動画、ポスター、パンフレットで構成されおり、大メコン圏の主要言語で作成することで、移民コミュニティへの普及を図っています(参考文献8)。 先日のベトナム・タイニン省へ訪問時には、この資材が現場で活用されている状況を拝見しました。

TEAM2プロジェクト以外の取り組みとして、他の国際機関や学術機関との共同プロジェクトの事前文献レビュー、IOM Thailand のHealth Assessment Centerの訪問、またワークショップや勉強会への参加などがあります。上司やチームの理解もあり、多くのワークショップや勉強会に参加する機会を多くいただいています。
例えば4月23日〜25日にバンコクで開催されたSEARO主催の「Translating global and regional political commitments towards ending TB into action in the South-East Asia region」では、タイの結核対策プログラムの今後の取り組みや課題について学ぶ機会がありました(参考文献9)。特に、薬剤耐性結核患者への生活支援や栄養支援が検討されていること、移民の結核患者の治療における言語の壁や帰国時の紹介の難しさが課題となっていること、さらに移民の結核患者に対する差別や偏見が新たな問題として浮上しており、今後の大きな課題であることを学びました。これらの課題はすぐに解決できるものではありませんが、今後も引き続き関与していきたいと考えています。

IOM業務外の活動としては、在タイIOM邦人職員会(2024年9月時点:IOM Regional Office in Bangkok, IOM Thailand, IOM Myanmar在籍者)、在タイ国際機関邦人職員会、そして国際移住機関IOMと世界食糧計画WFPとの親睦会に参加しています。これらの場を通じて、人脈形成や情報交換を行い、他の国際機関で活躍する邦人職員との交流を深めています。

最後になりますが、IDES養成プログラムの海外研修も折り返し地点を迎え、この機会に国際移住機関(IOM)での活動について簡単にご紹介させていただきました。国際機関での勤務は、異なるバックグラウンドを持つ方々と英語で仕事をするため、言語の壁や文化的な違いによる苦労もありますが、これまでのIOMでの経験を通して、多くの学びを得ることができました。残りの任期においても、大メコン圏のMigration Healthについて理解を深め、さらに貢献ができるよう努めていきたいです。

参考文献
1.IOM公式ホームページ:国際移住機関(IOM)とはhttps://japan.iom.int/
2.国際移住機関(IOM)の概要
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000049929.pdf
3.月刊IOM:IOM駐日代表と考える移住の世界(YouTube)
https://www.youtube.com/live/M4SHI8px6Xs?si=5yPU5E34RDKWunXq
4.月刊 IOM :人の移動と健康(YouTube)
https://www.youtube.com/live/M4SHI8px6Xs?si=5yPU5E34RDKWunXq
5.月刊IOM:エチオピア現地リポート(YouTube)
https://youtu.be/W0pFYr7B4IM?si=Spm9skwmwyJGVQh
6.グローバルファンドの概要 | FGFJ - グローバルファンド日本委員会 (jcie.or.jp)
https://fgfj.jcie.or.jp/global-fund/
7.About TEAM2 | IOM Regional Office for Asia and the Pacific
https://roasiapacific.iom.int/team2
8.You Are My Heroes! | IOM Regional Office for Asia and the Pacific
https://roasiapacific.iom.int/you-are-my-heroes
9.WHO公式ホームページ:Meeting Report
https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/377879/SEA-TB-378-eng.pdf?sequence=4

◆IDESコラムvol.80「国際移住機関(IOM)での海外研修」 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/column80.html

・当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
・IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。

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