感染症エクスプレス@厚労省
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2020-03-20
件名 | 【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.408(2020年03月20日) |
感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>> ┗━┻━┻━┻━┻━┻━╋━╋━╋━╋━┓ >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.408(2020年3月20日) >>>>>>>>>┗━┻━┻━┻━┛ ■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【トピックス】 ◆新型コロナウイルス感染症について ◆風しんの報告が続いています ◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2020年3月13日) ◆RSウイルス感染症の流行が続いています ◆フィリピンでポリオ(急性灰白髄炎)が発生しています ◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています 【感染症発生情報】 ◆IDWR 2020年第9週(第9号)(2020年3月13日) ◆IASR Vo.41, No.2 (No.480)(2020年2月) ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報 (2020年3月6日〜2020年3月20日掲載) 【コラムコーナー】 ◆IDESコラムvol.59「あなたのおばあちゃんに説明できますか?」 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、3月19日時点で国内感染者は914名(患者806名、無症状病原体保有者106名)となります。 また、風しんの報告が多く見られています。2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。2020年は、3月8日までに64例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。 詳細は本メールマガジンをご覧ください。 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ トピックス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆新型コロナウイルス感染症について 新型コロナウイルス感染症について、3月19日時点で国内感染者は914名(患者806名、無症状病原体保有者106名)となります。 感染管理に関しては、下記国立感染症研究所等が発表しているマニュアルをご覧ください。 ○新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年3月5日改訂版)(国立感染症研究所 感染症疫学センター・国立国際医療研究センター 国際感染症センター) https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html ○新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報について(国立感染症研究所) https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9324-2019-ncov.html また3月17日付で、「一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究」(令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)において、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」が作成されましたので、是非ご活用ください。 https://www.mhlw.go.jp/content/000609467.pdf 厚生労働省では新型コロナウイルス感染症特設ページを作成しておりますので、こちらにて最新情報をご確認いただけます。 <新型コロナウイルス感染症について> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html 上記特設ページでは、国内の発生状況、政府の対策について、働く方や経営者の方向け情報、学校の臨時休業に関する説明など、幅広く項目を設けております。ぜひご活用ください。 <関連情報> ○新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報について(国立感染症研究所) https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9324-2019-ncov.html ○新型コロナウイルス感染症の現状の評価と 国内のサーベイランス、医療体制整備について(2020年2月7日時点)(国立感染症研究所) https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-04-200207.pdf ○感染症発生動向調査及び積極的疫学調査により報告された新型コロナウイルス感染症確定症例112例の記述疫学(2020年2月24日現在) https://www.niid.go.jp/niid/ja/covid-19/9440-covid14-14.html <厚生労働省英語版ページ> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_00032.html <厚生労働省中国語版ページ> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_09534.html 現在の状況と厚生労働省の対応については、毎日正午までの各国機関やWHO等から発表された内容を踏まえ、プレスリリースとして発表しております(休日を除く。休日は現在の状況をデータとしてリリースしております)。 厚生労働省が把握している情報と現在の対応など、プレスリリース一覧は下記にございます。 <報道発表一覧(新型コロナウイルス)> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00086.html 国民の皆様におかれては、風邪や季節性インフルエンザ対策と同様にお一人お一人の咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。感染症対策に努めていただくようお願いいたします。 次の症状がある方は「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。 ・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます) ・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。 ※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合 センターでご相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、専門の「帰国者・接触者外来」をご紹介しています。マスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて受診してください。 なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、 インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。 【相談後、医療機関にかかるときのお願い】 〇帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。 〇医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。 ◆風しんの報告が続いています 2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。 2019年は、12月29日までに2,306例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。2020年は3月8日までに64例の報告があります。 厚生労働省は、今般の風しんの発生状況を踏まえ、厚生科学審議会感染症部会及び予防接種基本方針部会での議論に基づき、これまで風しんの定期接種をうける機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日までの間に生まれた男性に対して、抗体検査を前置した上で、予防接種法に基づいた風しんの第5期の定期接種を行っております。 対象となる男性は、2022年3月末までの間、市区町村により送付されるクーポン券を使用すれば、原則無料で抗体検査及び定期接種を受けられるようになります。クーポン券は市区町村から順次送付しております。まだクーポン券が送付されない対象者も、市区町村に希望すればクーポン券を発行し、抗体検査を受けられます。なお、自治体により事業の開始時期や対応が異なるため、お住まいの市区町村にお問い合わせください。 なお、より多くの対象男性に対して告知し、抗体を獲得していただくために、厚生労働省は、「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」とコラボレーションしたポスター及びリーフレットの作成や、SNSなどを通じた啓発活動を行っております。また、「ラグビー日本代表」を起用した啓発活動も行っております。その他、名刺サイズの案内用紙やクーポン使用上の注意、医療機関向けのクーポン券の使用可否お知らせポスターなどを啓発資料として用意しておりますので、ぜひご活用いただければと存じます。 以下の風しんの追加的対策特設ページからもダウンロードできますので、是非普及啓発活動の資材としてお役立てください。 また、YouTubeにて動画【止めるぞ 風しん 〜おじさま世代の皆様へ〜】を公開しております。風しんの患者が急増する中、40代、50代の皆さま、その他の皆さまも、すぐ検査に行っていただきたい思いを動画にし、公開いたしました。 風しんはなぜ怖いの?クーポン券とは?どうやって使うの?など、わかりやすく動画にて説明しております。ぜひ皆様の視聴および周りの方への視聴のお勧めをお願いいたします。 <動画はこちら>(YouTubeへリンク) https://www.youtube.com/watch?v=IUQZN1J4zI4 <風しんの追加的対策特設ページ> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html ■□シティーハンター□■ <ポスター(A2サイズ)> http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/poster_cityh.pdf <リーフレット(A4サイズ)> http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/leaf_cityh.pdf ■□ラグビー日本代表□■ <ポスター(A2サイズ)> https://www.mhlw.go.jp/content/poster_rugbyj.pdf <リーフレット(A4サイズ)> https://www.mhlw.go.jp/content/leaf_rugbyj.pdf <ポスターとリーフレットの画像使用について> 風しんの啓発活動以外の用途では、ご使用をご遠慮申し上げます。また、ポスター・リーフレットの画像を加工・編集してのご使用も固くお断り申し上げます。 <クーポン券の使用可否のお知らせポスター> https://www.mhlw.go.jp/content/000537268.pdf <名刺サイズの案内用紙> https://www.mhlw.go.jp/content/000537274.pdf <クーポン券の使用上の注意> https://www.mhlw.go.jp/content/000537276.pdf 今回の追加的対策の円滑な実施にむけて、引き続き検討を進めてまいります。 <風しんについて> https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/ <風疹 発生動向調査 2020年第8週(’20/3/17現在)> https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/rubella/2020pdf/rube20-10.pdf 【リーフレット】 <体調不良の時はムリしないで> https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster15.pdf <妊娠を希望する女性、妊婦とそのご家族へ> https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster14.pdf <職場は風しん予防対策をしていますか> https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster13.pdf 【政府広報オンライン】 昭和37年度〜53年度生まれの男性の皆さんへ 風しんの予防接種にご協力ください! https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201406/3.html 【政府インターネットテレビ】(動画) <昭和37〜53年度生まれの男性の方へ 〜生まれてくる赤ちゃんを守る“風しん対策”> https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg19934.html <ピックアップ!〜赤ちゃんを守る! 〜男性も風しん対策を> https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg20050.html ◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2020年3月13日) 全国の定点医療機関当たり報告数は3.13 2020年第10週(3月2日〜3月8日)のデータを公表しました。 全国の定点医療機関当たり報告数は3.13となり、前週の4.77よりも減少しました。 <インフルエンザに関する報道発表資料> http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html ◆RSウイルス感染症の流行が続いています 2019年8月より、RSウイルス感染症の報告数が増加しており、現在も流行が継続しています。 RSウイルスは子どもと大人のどちらにも感染することがあり、症状は風邪の様な軽い症状から、呼吸困難などの重い症状を起こすことまで様々です。特に、新生児や6ヶ月以内の乳児、先天性心疾患や肺の基礎疾患があるお子さんに感染すると、時に肺炎や細気管支炎など、重篤な病態を引き起こすことがあり、注意が必要です。 感染経路は患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスが付着した手指などを介した接触感染が主です。感染対策として、マスクを着用することや咳エチケット、手洗いなどの対策を徹底することが大切です。 <RSウイルス感染症> https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-15.html ◆フィリピンでポリオ(急性灰白髄炎)が発生しています 2019年9月に、フィリピンにおいて、ポリオ(急性灰白髄炎)の発生が報告されました。フィリピンでの症例は野生株ではなく、ワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)によるものですが、急性弛緩性麻痺の症状のある患者さんを観た際は、フィリピンなど、ポリオ流行国への渡航歴を聞いた上で、ポリオの検査をご検討ください。必要に応じて、ポリオや急性弛緩性麻痺の届出の徹底もお願いします。 なお、フィリピンを含め、ポリオが発生している国に4週間以上の長期滞在を予定している方は、渡航前の追加接種が世界保健機関より推奨されています。特に、1975年から1977年生まれの方はポリオに対する免疫が低いことが分かっており、この世代の方に対しては追加接種が強く推奨されます。 また、定期接種(四種混合)を終えてない方や、これまでに一度もポリオの予防接種を受けたことがない方は、長期滞在しない場合であっても、渡航前に予防接種を受けて頂くことが推奨されます。 ◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています 厚生労働省では、検疫や国内での対応強化のため注意喚起を行っています。エボラ出血熱の流行地域であるコンゴ民主共和国(北キブ州及びイツリ州)から帰国された方は、検疫官に申告するようにしてください。 2018年8月1日(現地時間)、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国(旧ザイール)保健省は、同国北東部の北キブ州において、エボラ出血熱が発生したことを発表しました。2020年2020年3月16日までに、北キブ州・イツリ州・南キブ州の3州において、2,264名の死亡例を含む、3,444例の患者(確定3,310例、疑い134例)が報告されています。また、2018年8月8日から高リスク群に対してのワクチン接種が始まりました。 2019年6月11日(現地時間)、WHO及びウガンダ共和国保健省は、同国西部のカセセ県において、エボラ出血熱患者が確認されたことを発表しました。2019年8月30日までに、3例の死亡例が報告されています。これらの患者は、コンゴ民主共和国からの入国者の発症例で、患者への接触者については追跡できているとのことです。 2019年7月14日(現地時間)、北キブ州の州都ゴマにおいて、エボラ出血熱患者が確認されました。2019年7月17日、今回のエボラ出血熱の流行に関する緊急委員会がWHOで開催され、「国際的に懸念される公衆衛生上の危機(PHEIC)」に該当するとの見解が示されています。2019年10月17日に緊急委員会が開催され、PHEIC継続の見解が示されています。2020年2月12日に緊急委員会が開催され、PHEIC継続の見解が示されています。 2019年8月16日、コンゴ民主共和国の保健省及びWHOは、南キブ州でのエボラ出血熱の発生を確認したと発表しました。 今回の発生地域では、2019年4月18日の武装勢力による病院襲撃によりWHO職員に死傷者が出るなど、反政府勢力による非人道的行為が行われており、以前より外務省から退避勧告が出されています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 感染症発生情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■国内の感染症発生状況 ◆IDWR 2020年第9週(第9号)(2020年3月13日) インフルエンザの定点当たり報告数は第5週以降減少が続いている <IDWR 感染症発生動向調査週報> https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2020.html ◆IASR Vo.41, No.2 (No.480)(2020年2月) 特集は「急性弛緩性麻痺2019年12月現在」です。 関連情報として、急性弛緩性麻痺症例の臨床鑑別と症状などを取り上げています。 <IASR(病原微生物検出情報 月報)2020年2月号> http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr.html ■海外の感染症発生状況 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報 (2020年3月6日〜2020年3月20日掲載) 2020年3月19日 全世界に対する感染症危険情報の発出(新規) https://www.forth.go.jp/topics/20200319.html 2020年3月18日 エジプトに対する感染症危険情報の発出(新規) https://www.forth.go.jp/topics/202003181123.html 2020年3月18日 欧州各国に対する感染症危険情報の発出(一部の国・地域のレベル引き上げ)(新規) https://www.forth.go.jp/topics/202003181113.html 2020年3月16日 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う海外のクルーズ船に関する注意喚起 https://www.forth.go.jp/topics/202003161431.html 2020年3月13日 欧州各国に対する感染症危険情報の発出(新規) https://www.forth.go.jp/topics/20200313.html 2020年3月12日 米国における新型コロナウイルス感染症に関する注意喚起−海外安全情報 https://www.forth.go.jp/topics/202003121525.html 2020年3月10日 欧州に対する感染症危険情報の発出(レベル引き上げ)−海外安全情報 https://www.forth.go.jp/topics/202003101420.html 2020年3月10日 イランに対する感染症危険情報の発出(一部地域のレベル引き上げ)−海外安全情報 https://www.forth.go.jp/topics/202003101410.html 2020年3月6日 韓国に対する感染症危険情報の発出(レベル引き上げ)−海外安全情報 https://www.forth.go.jp/topics/202003061050.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コラムコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆IDESコラム Vol.59「あなたのおばあちゃんに説明できますか?」 IDES養成プログラム3期生:神代 和明 感染症危機管理プログラム(IDES)3期修了生の神代和明です。新型コロナウイルス感染症対策のため、厚生労働省本部に加っております。IDES修了生は、初期より様々な場面で国内外の本感染症の対応のお手伝いを行ってございます。 クラスター…… 新型コロナウイルス感染予防をする際に大変重要なキーワードではございますが、何それ?と思われる方が多いのかなと拝察します。 話は飛びますが、まず公衆衛生や疫学の世界では、小難しい概念や研究の結果を一般の方々にわかりやすく、適切に伝えることは大切です。公衆衛生や疫学調査で得られた結果というものは、国や自治体の施策に影響を与え、国民の皆様に影響を受けることがございます。したがって、発信する側も得られたデータや結果に意味を持たせ、効果的にそして的確に意思を持ってコミュニケーションをとる必要があります。 「それ、あなたのおばあちゃんに説明できますか?」基礎疫学の授業でよく言われた言葉です。 実際のテストでは、 "感度・特異度を計算し、あなたのおばあちゃんがわかるように結果の意義を説明して下さい"(専門家ではない方々への説明) "疫学の概念を、博士号を持ったあなたのおばあちゃんに説明しなさい"(専門家のコミュニケーション) おばあちゃんに限らず、おじいちゃんでもいいです。もちろん、お子さんでも、また専門分野のことを全く知らない友人に対してでもいいと思います。 医者にとってみると、患者さんに対してわかりやすく説明すること。公衆衛生に関わる人にとってみると、いただいた情報を分析し施策に役立てるだけでなく、わかりやすい形で国民の皆様に還元していき、行動変容につながるようなメッセージを伝えることでしょうか。 米国のオンライン医学教科書のUpToDateでは、患者さん向けの説明資料がありますが、わかりやすい言葉(plain language)を選んでいます。"Plain language"とは、今まで聞いたり見たりしたことがないことをわかりやすく伝えるコミュニケーション法です。 言うは易し、行うは…とだとは思いますが、常にこう言ったことを意識しながら、コミュニケーションをとっていく努力は必要であると思っています。 また、言語という意味以外に、拡大解釈して、わかりやすい「手法」ととらえることも可能だと思います。つまり、メッセージを伝えるために写真、絵、図や表などを使うことも有効です。 さて、前置きが長くなりました。クラスターについてです。 集団感染が起きた時は、感染者を把握し、感染者と濃厚に接触した人たちをフォロー・対策していくことで、さらなる感染拡大を予防するということが基本的な考え方です。 国内感染の分析結果からはわかってきたのは、軽症・重症にかかわらず感染した方は、意外に他の人に感染させることは少ないようです。感染した10人の中、8人の方は他の人に感染させていません。 一方で、一部の感染者がある条件下で多数の感染者(クラスター)を生み出していることもわかってきました。 1)換気の悪い閉鎖空間で、2)多くの人が密集、3)近距離での会話を行うような条件ではクラスターがうみだされやすいようです。また、このように生み出されたクラスターが次のクラスターを生み、感染連鎖の急速な拡大が起こる可能性があります。 したがって、クラスターを見つけ出し、感染の連鎖を止め、封じ込めを行う。これが最も需要です。 さて、今回のコラムで当初の目標、自分のおばあちゃんに説明できておりますでしょうか…… 余談ではありますが、すでに亡くなった祖母は病理学で博士号をとっており、私のおばあちゃんに対してはわかるレベルでご説明はできているのではと思っています。 最後になりますが、新型コロナウイルス 感染症対策では、国民の皆様は勿論、地方自治体、保健所、医療関係者、事業者の方々と一丸となった感染症対策を進めているところです。引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。 <参考資料> Plain Language とは(米国政府サイト)https://plainlanguage.gov/about/definitions/ UpToDate https://www.uptodate.com/home/patient-education IDESコラム vol. 34「おまえの意思をもっとも明確に伝えることができる言葉を使え」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/column34.html 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 新型コロナウイルス 感染症対策の見解 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html ●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。 ●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で4年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。 <感染症危機管理専門家(IDES)養成プログラム> http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ides/index.html <本コラムの感想、ご質問、ご要望など> http://kansenshomerumaga.mhlw.go.jp/ ⇒「メルマガの内容に関するご意見」をクリックするとメール作成画面が立ち上がります。 <コラム バックナンバー> http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116724.html ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ 『感染症エクスプレス@厚労省』の登録・変更は、ご自身のアドレスでのみ可能です。 配信先の変更は、不要になったアドレスを配信停止いただき、新しいアドレスで新規に登録をお願いします。 ※携帯電話等のキャリアドメインは登録できません。 ●新規登録・配信停止・配信先変更 http://kansenshomerumaga.mhlw.go.jp/ ●バックナンバー http://kansenshomerumaga.mhlw.go.jp/backnumber/ ●お問い合わせ(登録の変更は上記にて承ります) https://mhlw.asp.3mail.jp/inquiry/ ●内容に関するご意見 kansenshomail@mhlw.go.jp ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ○当メールマガジンは外部の電子メール配信サービスを利用して行っています。 ○登録していないにもかかわらず当メールマガジンが配信された場合は、他の方が間違えて登録した可能性がありますので、配信停止のお手続きをお願いします。 ○当メールマガジンの送信元アドレスは送信専用となっています。返信頂いても一切対応できかねます。 ○携帯メールなどには対応しておりません。 ○当メールマガジンは等幅フォントでの閲覧をおすすめします。 ○使用端末によって、改行などの表示が異なります。 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