感染症エクスプレス@厚労省
バックナンバー
メールマガジンのバックナンバーです。

2019-12-20

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.402(2019年12月20日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【トピックス】
 ◆風しんの報告が続いています
 ◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2019年12月20日)
 ◆RSウイルス感染症の流行が続いています
 ◆フィリピンでポリオ(急性灰白髄炎)が発生しています
 ◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 ◆第3回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式&「薬剤耐性へらそう!」応援大使によるトークイベントの動画を公開しました
 ◆第4回薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議を開催しました(11月27日)
 ◆12月5日に「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版」を公表しました
 ◆予防接種基礎講座(12月21日、22日)が実施されます

【感染症発生情報】
 ◆IDWR 2019年第49週(第49号)(2019年12月20日)
 ◆IASR  Vol.40, No.11 (No.477)(2019年11月)
 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2019年12月6日〜2019年12月20日掲載)
  
【コラムコーナー】
 ◆IDESコラム vol.58「招かれる客、招かれざる客」
 コラムの定期的な掲載は本号にて終了いたします。
 今後は不定期に様々なコラムを掲載予定です。
 IDESコラムをこれまでお読みいただきありがとうございました。
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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。 

 現在、風しんの報告が多く見られています。2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。2019年は、12月8日までに2,281例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。

 詳細は本メールマガジンをご覧ください。
 
 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。
 本号が本年は最後の配信となります。来年も有用な感染症情報をお届けしてまいりますので、感染症エクスプレス@厚労省をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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 トピックス
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◆風しんの報告が続いています
  2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。
 2019年は、12月8日までに2,281例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。
 厚生労働省は、今般の風しんの発生状況を踏まえ、厚生科学審議会感染症部会及び予防接種基本方針部会での議論に基づき、これまで風しんの定期接種をうける機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日までの間に生まれた男性に対して、抗体検査を前置した上で、予防接種法に基づいた風しんの第5期の定期接種を行っております。
 対象となる男性は、2022年3月末までの間、市区町村により送付されるクーポン券を使用すれば、原則無料で抗体検査及び定期接種を受けられるようになります。クーポン券は市区町村から順次送付しております。まだクーポン券が送付されない対象者も、市区町村に希望すればクーポン券を発行し、抗体検査を受けられます。なお、自治体により事業の開始時期や対応が異なるため、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

 なお、より多くの対象男性に対して告知し、抗体を獲得していただくために、厚生労働省は、「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」とコラボレーションしたポスター及びリーフレットの作成や、SNSなどを通じた啓発活動を行っております。また、「ラグビー日本代表」を起用した啓発活動を行っております。その他、名刺サイズの案内用紙やクーポン使用上の注意、医療機関向けのクーポン券の使用可否お知らせポスターなどを啓発資料として用意しておりますので、ぜひご活用いただければと存じます。
 以下の風しんの追加的対策特設ページからもダウンロードできますので、是非普及啓発活動の資材としてお役立てください。

 また、YouTubeにて動画【止めるぞ 風しん 〜おじさま世代の皆様へ〜】を公開しております。風しんの患者が急増する中、40代、50代の皆さま、その他の皆さまも、すぐ検査に行っていただきたい思いを動画にし、公開いたしました。
 風しんはなぜ怖いの?クーポン券とは?どうやって使うの?など、わかりやすく動画にて説明しております。ぜひ皆様の視聴および周りの方への視聴のお勧めをお願いいたします。
<動画はこちら>(YouTubeへリンク)
https://www.youtube.com/watch?v=IUQZN1J4zI4

<風しんの追加的対策特設ページ>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html
■□シティーハンター□■
<ポスター(A2サイズ)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/poster_cityh.pdf
<リーフレット(A4サイズ)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/leaf_cityh.pdf
■□ラグビー日本代表□■
<ポスター(A2サイズ)>
https://www.mhlw.go.jp/content/poster_rugbyj.pdf
<リーフレット(A4サイズ)>
https://www.mhlw.go.jp/content/leaf_rugbyj.pdf
<ポスターとリーフレットの画像使用について>
 風しんの啓発活動以外の用途では、ご使用をご遠慮申し上げます。また、ポスター・リーフレットの画像を加工・編集してのご使用も固くお断り申し上げます。

<クーポン券の使用可否のお知らせポスター>
https://www.mhlw.go.jp/content/000537268.pdf
<名刺サイズの案内用紙>
https://www.mhlw.go.jp/content/000537274.pdf
<クーポン券の使用上の注意>
https://www.mhlw.go.jp/content/000537276.pdf

 今回の追加的対策の円滑な実施にむけて、引き続き検討を進めてまいります。

<風しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
<風疹 発生動向調査 2019年第48週(’19/12/17現在)> 
http://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/rubella/2019pdf/rube19-48.pdf

【リーフレット】
<体調不良の時はムリしないで>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster15.pdf
<妊娠を希望する女性、妊婦とそのご家族へ>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster14.pdf
<職場は風しん予防対策をしていますか>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster13.pdf

【政府広報オンライン】
昭和37年度〜53年度生まれの男性の皆さんへ 風しんの予防接種にご協力ください!
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201406/3.html

【政府インターネットテレビ】(動画)
<昭和37〜53年度生まれの男性の方へ 〜生まれてくる赤ちゃんを守る“風しん対策”>
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg19934.html


◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2019年12月20日)
 全国の定点医療機関当たり報告数は15.62
 2019年第50週(12月9日〜12月15日)のデータを公表しました。
 全国の定点医療機関当たり報告数は15.62となり、前週の9.52よりも増加しました。

<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html


◆RSウイルス感染症の流行が続いています
 2019年8月より、RSウイルス感染症の報告数が増加しており、現在も流行が継続しています。
 RSウイルスは子どもと大人のどちらにも感染することがあり、症状は風邪の様な軽い症状から、呼吸困難などの重い症状を起こすことまで様々です。特に、新生児や6ヶ月以内の乳児、先天性心疾患や肺の基礎疾患があるお子さんに感染すると、時に肺炎や細気管支炎など、重篤な病態を引き起こすことがあり、注意が必要です。
 感染経路は患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスが付着した手指などを介した接触感染が主です。感染対策として、マスクを着用することや咳エチケット、手洗いなどの対策を徹底することが大切です。

<RSウイルス感染症>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-15.html


◆フィリピンでポリオ(急性灰白髄炎)が発生しています
 2019年9月に、フィリピンにおいて、ポリオ(急性灰白髄炎)の発生が報告されました。急性弛緩性麻痺の症状のある患者さんを観た際は、フィリピンなど、ポリオ流行国への渡航歴を聞いた上で、ポリオの検査をご検討ください。必要に応じて、ポリオや急性弛緩性麻痺の届出の徹底もお願いします。
 なお、フィリピンを含め、ポリオが発生している国に4週間以上の長期滞在を予定している方は、渡航前の追加接種が世界保健機関より推奨されています。特に、1975年から1977年生まれの方はポリオに対する免疫が低いことが分かっており、この世代の方に対しては追加接種が強く推奨されます。
 また、定期接種(四種混合)を終えてない方や、これまでに一度もポリオの予防接種を受けたことがない方は、長期滞在しない場合であっても、渡航前に予防接種を受けて頂くことが推奨されます。


◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 厚生労働省では、検疫や国内での対応強化のため注意喚起を行っています。エボラ出血熱の流行地域であるコンゴ民主共和国(北キブ州及びイツリ州)から帰国された方は、検疫官に申告するようにしてください。 
 2018年8月1日(現地時間)、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国(旧ザイール)保健省は、同国北東部の北キブ州において、エボラ出血熱が発生したことを発表しました。2019年12月17日までに、北キブ州・イツリ州・南キブ州の3州において、2,210名の死亡例を含む、3,348例の患者(確定3,230例、疑い118例)が報告されています。また、2018年8月8日から高リスク群に対してのワクチン接種が始まりました。
 2019年6月11日(現地時間)、WHO及びウガンダ共和国保健省は、同国西部のカセセ県において、エボラ出血熱患者が確認されたことを発表しました。2019年8月30日までに、3例の死亡例が報告されています。これらの患者は、コンゴ民主共和国からの入国者の発症例で、患者への接触者については追跡できているとのことです。
 2019年7月14日(現地時間)、北キブ州の州都ゴマにおいて、エボラ出血熱患者が確認されました。2019年7月17日、今回のエボラ出血熱の流行に関する緊急委員会がWHOで開催され、「国際的に懸念される公衆衛生上の危機(PHEIC)」に該当するとの見解が示されています。2019年10月17日に緊急委員会が開催され、PHEIC継続の見解が示されています。
 2019年8月16日、コンゴ民主共和国の保健省及びWHOは、南キブ州でのエボラ出血熱の発生を確認したと発表しました。
 今回の発生地域では、2019年4月18日の武装勢力による病院襲撃によりWHO職員に死傷者が出るなど、反政府勢力による非人道的行為が行われており、以前より外務省から退避勧告が出されています。


◆第3回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式&「薬剤耐性へらそう!」応援大使によるトークイベントの動画を公開しました
 薬剤耐性(AMR)対策の全国的な広がりを促進することを目的として、令和元年11月9日(土)に、野村コンファレンスプラザ日本橋において、第3回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式&「薬剤耐性へらそう!」応援大使によるトークイベントを開催しました。
 トークイベントには、「薬剤耐性へらそう!」応援大使であるタレントのJOYさん、篠田麻里子さんに加えて今年は、芸人のAMEMIYAさん、俳優の荒牧慶彦さん、専門家の大曲貴夫さん(国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター センター長)が参加しました。イベント終盤にはAMEMIYAさんによる「薬剤耐性(AMR)対策」オリジナルソングが披露されるなど、薬剤耐性(AMR)について楽しく学べる機会となりました。
 以下のページにて、当日の模様の動画を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

<「第3回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰式&「薬剤耐性へらそう!」応援大使によるトークイベント」動画>
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/infection/movie.html


◆第4回薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議を開催しました(11月27日)
 薬剤耐性(AMR)対策に係る全国的な普及啓発活動を推進するため、11月27日(水)に「第4回薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議」(議長:毛利衛 日本科学未来館館長)を開催しました。今回は、第3回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰受賞者からも活動をご報告いただきました。
 以下のページにて、当日の配付資料を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

<第4回薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議>
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai4/index.html


◆12月5日に「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版」を公表しました
薬剤耐性対策における抗微生物薬の適正使用推進のために、平成29年6月に公表した「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」を改訂し、3か月以上の乳幼児から学童期までの小児における急性気道感染症、急性下痢症、急性中耳炎について追記した「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版」を令和元年12月5日に公表しました。
今後、ダイジェスト版の発行も準備していきます。
URL: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000573655.pdf


◆予防接種基礎講座(12月21日、22日)が実施されます
予防接種が安全かつ有効に実施されるために必要となる、医療安全・患者安全等に関する最新の情報と確かな基本的技術を学びます。予防接種の実施・教育に関わる医療職(医師・看護師・助産師・保健師・薬剤師・養護教諭等)の方は、是非、お申し込み下さい。
※参加費無料です
※席に限りがあります
<ご案内URL>
http://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/index.html


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 感染症発生情報
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■国内の感染症発生状況

◆IDWR  2019年第49週(第49号)(2019年12月20日)
 インフルエンザの定点当たり報告数は第43週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多い
<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2019.html


◆IASR  Vo.40, No.11(No.477)(2019年11月)
 特集は「インフルエンザ 2018/19シーズン」です。
 関連情報として、抗インフルエンザ薬耐性株の検出と性状などを取り上げています。
<IASR(病原微生物検出情報 月報)2019年11月号>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr.html


■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2019年12月6日〜2019年12月20日掲載)

2019年12月19日 エボラウイルス病−コンゴ民主共和国(更新47)
https://www.forth.go.jp/topics/20191219.html
2019年12月18日 麻しんの太平洋諸島諸国と地域の状況
https://www.forth.go.jp/topics/20191218.html
2019年12月17日 伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型―アフリカ地域
https://www.forth.go.jp/topics/20191217.html
2019年12月12日 中東呼吸器症候群(MERS-CoV)−サウジアラビア王国(更新)
https://www.forth.go.jp/topics/201912121325.html
2019年12月12日 伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型?パキスタン
https://www.forth.go.jp/topics/201912121137.html
2019年12月12日 コレラ−スーダン共和国
https://www.forth.go.jp/topics/201912121043.html
2019年12月11日 デング熱−スペイン
https://www.forth.go.jp/topics/201912111501.html
2019年12月11日 ラッサ熱−オランダ(シエラレオネにおける感染事例)
https://www.forth.go.jp/topics/201912111355.html
2019年12月10日 麻しんの世界的な状況
https://www.forth.go.jp/topics/201912100928.html
2019年12月10日  黄熱−ベネズエラ
https://www.forth.go.jp/topics/201912100917.html
2019年12月6日  クアランの海外旅行Q&Aの更新(年末年始に海外へ渡航される皆さまへ)
https://www.forth.go.jp/news/20191206.html


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 コラムコーナー
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◆IDESコラム vol.58「招かれる客、招かれざる客」
 IDES養成プログラム4期生:大塚 美耶子
 こんにちは。IDES4期生の大塚美耶子です。
 ジュネーブ付近の山々はすっかり雪化粧になりました。また、日がすっかり短くなり、朝は8時過ぎの日の出なので、朝出勤・通学するときはまだ電灯がついています。また夜も5時には日の入りで暗く寒い夜ですが、そんな状況も駅前などに行くと、綺麗なイルミネーションやホットワインと一緒に楽しめます。
 クリスマスマーケットも去年からジュネーブに設置されたそうで、いわゆるクリスマスシーズンらしい雰囲気を味わえます。翻って南大陸の方ではサンタクロースがサーフィンをして、クリスマスはバーベキューで祝うと聞いたことがありますが、それもとても楽しそうです。クリスマスを含め年末年始のお祝いは世界中多くの人がその喜びを共有する素敵な機会ですね。
 こんな大勢に喜ばれる冬のお祝いとは反対に、誰も歓迎しない麻しんの流行がここ過去1,2年、世界中、東西南北問わずいたるところで発生しています。日本は2015年3月に世界保健機関(WHO)の西太平洋事務局から麻しんの排除状態と認定されましたが、世界の流行にもれず麻しんの輸入症例の発生がまだ見られます。日本が所属しているWHOの西太平洋地域事務局はWPROといいますが、WPROの管轄している南の島々でも麻しんのアウトブレイクが起こっており、とても残念なことに麻疹の予防接種率の低い国々で、感染者のうちの多くは5歳以下の子供が麻しんの犠牲となって亡くなっています。
 最近麻しんの新しい知見が科学誌「Science」で発表されました。今までも麻しんに罹患すると免疫機能が低下して、他の感染症リスクが高まる可能性が示唆されていましたが、麻しんウイルスは罹患すると免疫状態がリセットされそれまで獲得してきた感染源に対する記憶を全て消し去ってしまうという恐ろしい感染症であることが再確認されたのです。そして、麻しんに対する特異的な治療法は存在しません。
 このように麻しんは恐ろしい感染症ですが、予防接種により予防できる感染症なのです。現在日本では、麻しんの予防接種は法律に基づく定期接種に入っており、その接種率は平成30年度の時点で第1期98.5%、第2期95.6%と高いといえるでしょう。また麻しんに罹患しても医療機関で適切な処置が行われることで幸い大きな犠牲はでません。
 以前病院に勤めていた時にも出会いましたが、稀に日本でも定期接種を拒否される親御さんがいらっしゃいます。それでも麻しんなど予防接種により予防できる病気に罹患しにくいのは、日本の高い接種率(周囲の人が罹患しないので本人も感染症から隔離されている)による恩恵を受けているからです(喜ばしいことに、勤務先の病院のこちらの親御さんは最終的に予防接種をうけることに同意されました)。
 ところが、予防接種率の低い国では、麻しんをはじめせっかく予防接種で予防できる感染症による流行が始まると、5歳以下の小児等身体的に脆弱な人々が命を落とす危険にさらされます。今、世界では麻しん対策は喫緊の課題ですが、他の疾患に関しても予防接種率の低い国々には予防接種率を高める対策の実施を、日本においては予防接種が個人のみならず社会のためという認識をもって個人個人が必要な予防接種を必ず受けてほしいと願います。
 素敵な冬の休暇をお過ごしください。


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(編集:相原 瑶)
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