感染症エクスプレス@厚労省
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メールマガジンのバックナンバーです。

2019-03-22

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.383(2019年3月22日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【トピックス】
 ◆風しんの報告が続いています
 ◆麻しんの報告が続いています
 ◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 ◆伝染性紅斑(りんご病)の報告が増えています

【感染症発生情報】
 ◆IDWR 2019年第9週(第9号)(2019年3月15日)
 ◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2019年3月15日)
  全国の定点医療機関当たり報告数は4.12
 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2019年3月8日〜2019年3月22日掲載)

【コラムコーナー】
 ◆IDESコラム vol.39 「番外編:別れと出会いの季節」

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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。

 現在、風しんの報告が多く見られています。2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。2019年は、3月10日までに860例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。
 詳細は本メールマガジンをご覧ください。
 
 なお、当メールマガジンは隔週の配信に変更となりました。
 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。

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 トピックス
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◆風しんの報告が続いています
 2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。2019年は、3月10日までに860例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。
 妊娠中の女性(特に妊娠20週頃まで)が風しんに感染すると、先天性風しん症候群(CRS)の子どもが生まれてくる可能性があるため、注意が必要です。
  厚生労働省は、今般の風しんの発生状況を踏まえ、厚生科学審議会感染症部会及び予防接種基本方針部会での議論に基づき、これまで風しんの定期接種をうける機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日までの間に生まれた男性に対して、抗体検査を前置した上で、予防接種法に基づいた風しんの第5期の定期接種を行うこととなりました。
 対象となる男性は、2022年3月末までの間、市区町村により送付されるクーポン券を使用すれば、原則無料で抗体検査及び定期接種を受けられるようになります。2019年度は、1972年(昭和47)年4月2日〜1979年(昭和54)年4月1日生まれの男性に市区町村がクーポン券を送付します。2019年度にクーポン券が送付されない対象者も、市区町村に希望すればクーポン券を発行し、抗体検査を受けられます。なお、自治体により事業の開始時期や対応が異なるため、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

 なお、より多くの対象男性に対して告知し、抗体を獲得していただくために、厚生労働省は、「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」とコラボレーションしたポスター及びリーフレットの作成や、SNSなどを通じた啓発活動を行っております。以下の風しんの追加的対策特設ページからダウンロードもできますので、是非普及啓発活動の資材としてお役立てください。

<風しんの追加的対策特設ページ>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html
<ポスター(A2サイズ)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/poster_cityh.pdf
<リーフレット(A4サイズ)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/leaf_cityh.pdf
<ポスターとリーフレットの画像使用について>
 風しんの啓発活動以外の用途では、ご使用をご遠慮申し上げます。また、ポスター・リーフレットの画像を加工・編集してのご使用も固くお断り申し上げます。

今回の追加的対策の円滑な実施にむけて、引き続き検討を進めてまいります。

<風しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
<風疹 発生動向調査 2019年第10週(’19/3/13現在)>
http://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/rubella/2019pdf/rube19-10.pdf

【リーフレット】
<体調不良の時はムリしないで>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster15.pdf
<妊娠を希望する女性、妊婦とそのご家族へ>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster14.pdf
<職場は風しん予防対策をしてますか>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster13.pdf


◆麻しんの報告が続いています
 関西地方で麻しんの患者が増加しています。大阪府では商業施設等を発端に患者が増加しており、本年第1週〜第10週で304例が報告されました。前週からは、第10週分として報告された14例に、第10週分よりも前の週分として報告された5例を加えた計19例が増加しました。
 厚生労働省では、麻しん患者の移動などにより、不特定多数との接触がみられたことから、他の都道府県に感染が拡大する可能性も考慮し、2月18日に各自治体と医療機関に対して早期発見や院内感染防止等の注意喚起の事務連絡を発出しました。
 医療従事者は、麻しんを念頭においた診療に留意してください。
<麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起について(協力依頼)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000480372.pdf
<麻しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html


◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 厚生労働省では、検疫や国内での対応強化のため注意喚起を行っています。エボラ出血熱の発生地域であるコンゴ民主共和国(北キブ州、イツリ州)から帰国された方は、検疫官に申告するようにしてください。 
 2018年8月1日(現地時間)、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国(旧ザイール)保健省は、同国北東部の北キブ州において、エボラ出血熱が発生したことを発表しました。2019年3月12日までに、北キブ州とイツリ州の両州において、587名の死亡例を含む、932例の患者(確定867例、疑い65例)が報告されています。2018年8月8日に高リスク群に対してのワクチン接種が始まり、2019年3月12日までに、88,329名がワクチンの接種を受けました。
 今回の発生地域では、反政府勢力による非人道的行為が行われており、以前より外務省から退避勧告が出されています。
<エボラ出血熱について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708.html


◆伝染性紅斑(りんご病)の報告が増えています
 伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによっておこる感染症であり、10〜20日の潜伏期間のあと、両頬に紅い発疹や手足にレース状の発疹がでることがあります。小児にみられることが多く、ほとんどは軽症で自然に治りますが、関節炎がみられたり、妊婦が感染すると、胎児の異常(胎児水腫)や流産になることがあるので注意が必要です。伝染性紅斑の感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。伝染性紅斑に対するワクチンがないため、予防には、手洗いや咳エチケットを心がけてください。
<感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-21.html
<伝染性紅斑とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ta/5th-disease.html


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 感染症発生情報
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■国内の感染症発生状況

◆IDWR 2019年第9週(第9号)(2019年3月15日)
 伝染性紅斑の定点医療機関当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっています。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2019.html

◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2019年3月15日)
 全国の定点医療機関当たり報告数は4.12

 2019年第10週(2019年3月4日〜2019年3月10日)のデータを公表しました。
 全国の定点医療機関当たり報告数は4.12となり、前週の5.93よりも減少しました。

<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html


■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2019年3月8日〜2019年3月22日掲載)

2019年03月19日 カルバペネム耐性緑膿菌感染症−メキシコ
https://www.forth.go.jp/topics/20190319.html
2019年03月14日 エボラウイルス病 − コンゴ民主共和国(更新13) 
https://www.forth.go.jp/topics/20190314.html
2019年03月13日 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)ーサウジアラビア王国
https://www.forth.go.jp/topics/20190313.html
2019年03月11日 伝播型ワクチン由来?型ポリオウイルス−パプアニューギニア 
https://www.forth.go.jp/topics/201903110002.html
2019年03月11日 ラッサ熱−ナイジェリア
https://www.forth.go.jp/topics/20190311.html

中東呼吸器症候群(MERS)に関する注意
https://www.forth.go.jp/news/20181220.html


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 コラムコーナー
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◆IDESコラム vol.39 「番外編:別れと出会いの季節」
 結核感染症課長 三宅 邦明

 結核感染症課長の三宅です。年度末に当たり、コラムを担当させていただくこととなりました。さて、この1年を振り返ると課の業務で一番時間をかけたのはやはり風しんに対する対策です。この4月で大体40〜57歳になる男性、1500万人を超える働き盛りの方々を対象に、三年間限定で定期接種として麻しん・風しん混合ワクチンを打ってもらおうという新しい施策の設計に邁進していました。
 実は、この対象年齢より上の世代は、定期接種導入前で自然感染により90%以上の方が免疫を持ち、この下の世代は全員が予防接種を受けていてやはり90%以上の方が免疫を持っているのですが、この世代だけは、先天性風しん症候群の発生を防止するため女性のみが定期接種の対象となっていた時代で、自然感染もせず、予防接種も受けなかった男性が多く、集団免疫が成立する85%を下回る免疫保有の世代なのです。そのため、ここをターゲットにすることは、とても自然な流れではあるものの、働き盛りの世代で休みを取ってワクチン接種などの時間を空けてもらいにくいこと、住民票のある市町村に住んでいない方も居ること、非常に対象人口が多くワクチン・予算の確保が難しいことなど、多くの難題を抱えていました。
 これらの課題をクリアするため、まずは抗体検査をして免疫が無い・弱い方のみを対象にワクチン接種を行うこと、全国どこでも検査、ワクチン接種ができること、費用・時間を節約できるように健康診断の上乗せとして実施できることの三点を可能とするスキームが構想されましたが、どれも前例の無い方法ばかり、、、何度も、課題解決の断念が議論された中で、これらの課題がクリアされ晴れて、この4月より本格的に始動できるようになりました。ここに至るまでの担当を超えて日夜奮闘してくれた課員、健康局の先輩方、財務省・総務省・人事院などの協力、政治家の方々の支援、医師会・知事会・市町村会・健診機関を取りまとめる団体の方々など本当に多くの方の協力によってできたものです。本当に素晴らしいチームだからこそ乗り越えられたと思います。この施策は予防接種法における麻しん・風しん対策の第五期接種として結実しました。
 ところで、第一期が1歳時、第二期が小学校入学前ですが第五期ってなんででしょう。

 実は、子供時代に感染するのが普通であった麻しんが2007年には、大学を中心に流行し、東京都内では、4月に創価大学が全授業の休講に踏み切ったのを初め、5月に入ってからは、上智・日本・東京工科・成蹊など、その後の1年間で80以上の大学、70以上の高校が休校になってしまった事件があったのです。やはり、自然感染世代と二回接種世代の間にある世代で、麻しんの流行が少なくなったために麻しんウイルスに接触する機会が減ったため免疫能が落ちてしまったためでした。そのため、中学校一年生となる世代と高校生三年生に予防接種を5年限定で麻しん・風しん混合ワクチンを打つことにより合計10学年に二回目のワクチン接種の機会を持ってもらうこととしました。これが、今はすでに終了していますが、第三期と第四期だったわけです。これにより、2015年には、我が国は麻しんの排除に成功しました。このため、現在も麻しんの外国からの流入がありますが比較的小さな流行で終了しているのです。
 ここで注目したいのは、2007年の流行が春だったことです。これは、気候など自然の影響と言うよりも、新しい集団生活が開始される時期という社会的な影響によるものです。

 よく知られている史実ですが、16世紀にスペインがアメリカ大陸に侵入した際に持ち込まれた天然痘がその疾患の免疫を全く持っていないアステカ王国の国民に大打撃を与えたり、クリストファー・コロンブスの率いた探検隊員がアメリカ上陸時に原住民女性と交わって梅毒に感染してヨーロッパに持ち帰りヨーロッパで梅毒が大流行したなど、人の移動、人々の新たな出会いが感染症の大流行のきっかけとなり得るのです。感染症は世界の歴史に大きな影響を与えているのです。

 風しんの今回の新たな施策を担ってきたチームもこの春で大きく入れ替わります。それぞれの者が新たな業務に挑戦します。別れはいつも悲しいものですが、それがあるから新しい仲間に出会い、新しい業務に挑戦もできるのも事実です。実は、私もこの春に24年間育ててくれた厚生労働省を辞めて、新しい仕事に挑戦します。別れと出会いの季節である春。やり残したことも多く、名残惜しい仲間もいっぱい居るのですが、、、新しい仲間を楽しみに新たな挑戦に出発します。皆さんも、いろいろな別れ、出会いがあることだと思います。勇気を出して踏み出しましょう。仕事を一緒にやってくれた方々、育ててくださった諸先輩方、めちゃぶりに応えてくれた多くの仲間たち、長い間ありがとうございました。そうそう、対象年齢の男性の方は、ぜひ、抗体検査もやってくださいね。春の生活環境の激変の中で、麻しん、風しんを拡げないために、、、


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(編集:成瀬浩史)
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