感染症エクスプレス@厚労省
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メールマガジンのバックナンバーです。

2019-03-08

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.382(2019年3月8日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【トピックス】
◆風しんの報告が続いています
◆麻しんの報告が続いています
◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
◆伝染性紅斑(りんご病)の報告が増えています

【感染症発生情報】
◆IDWR 2019年第8週(第8号)(2019年3月8日)
◆IASR  Vo.40, No.2 (No.468)(2019年2月)
◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2019年3月8日)
 全国の定点医療機関当たり報告数は5.93
◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2019年2月22日〜2019年3月8日掲載)

【イベント情報】
◆−肝炎研究、その先に見えるもの− AMED公開報告会を3月16日に開催します(主催:AMED)

【コラムコーナー】
◆IDESコラム vol.38 「抗菌薬処方のジレンマ」


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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。

 現在、風しんの報告が多く見られています。2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。2019年は、2月24日までに650例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。
 詳細は本メールマガジンをご覧ください。
 
 なお、当メールマガジンは隔週の配信に変更となりました。
 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。

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 トピックス
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◆風しんの報告が続いています
  2018年は、12月30日までに2,917例の届出があり、そのうち、2,857例は7月23日以降の報告でした。2019年は、2月24日までに650例の報告があります。患者の多くは、昨年同様30〜50代の男性で、都市圏を中心に報告されています。
  妊娠中の女性(特に妊娠20週頃まで)が風しんに感染すると、先天性風しん症候群(CRS)の子どもが生まれてくる可能性があるため、注意が必要です。
  厚生労働省は、今般の風しんの発生状況を踏まえ、厚生科学審議会感染症部会及び予防接種基本方針部会での議論に基づき、これまで風しんの定期接種をうける機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日までの間に生まれた男性に対して、抗体検査を前置した上で、予防接種法に基づいた風しんの第5期の定期接種を行うこととなりました。
 対象となる男性は、2022年3月末までの間、市区町村により送付されるクーポン券を使用すれば、原則無料で抗体検査及び定期接種を受けられるようになります。2019年度は、1972年(昭和47)年4月2日〜1979年(昭和54)年4月1日生まれの男性に市区町村がクーポン券を送付します。2019年度にクーポン券が送付されない対象者も、市区町村に希望すればクーポン券を発行し、抗体検査を受けられます。なお、自治体により事業の開始時期や対応が異なるため、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

 なお、より多くの対象男性に対して告知し、抗体を獲得していただくために、厚生労働省は、「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」とコラボレーションしたポスター及びリーフレットの作成や、SNSなどを通じた啓発活動を行っております。以下の風しんの追加的対策特設ページからダウンロードもできますので、是非普及啓発活動の資材としてお役立てください。

<風しんの追加的対策特設ページ>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html
<ポスター(A2サイズ)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/poster_cityh.pdf
<リーフレット(A4サイズ)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/leaf_cityh.pdf
<ポスターとリーフレットの画像使用について>
 風しんの啓発活動以外の用途では、ご使用をご遠慮申し上げます。また、ポスター・リーフレットの画像を加工・編集してのご使用も固くお断り申し上げます。

 今回の追加的対策の円滑な実施にむけて、引き続き検討を進めてまいります。

<風しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
<風疹 発生動向調査 2019年第8週(’19/2/27現在)>
http://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/rubella/2019pdf/rube19-08.pdf

【リーフレット】
<体調不良の時はムリしないで>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster15.pdf
<妊娠を希望する女性、妊婦とそのご家族へ>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster14.pdf
<職場は風しん予防対策をしてますか>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster13.pdf


◆麻しんの報告が続いています
 関西地方で麻しんの患者が増加しています。大阪府では商業施設等を発端に患者が増加しており、本年第1週〜第8週で94例が報告されました。直近の1週間で全国から33例が報告されました。
 厚生労働省では、麻しん患者の移動などにより、不特定多数との接触がみられたことから、他の都道府県に感染が拡大する可能性も考慮し、2月18日に各自治体と医療機関に対して早期発見や院内感染防止等の注意喚起の事務連絡を発出しました。
 医療従事者は、麻しんを念頭においた診療に留意してください。
<麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起について(協力依頼)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000480372.pdf
<麻しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html


◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 厚生労働省では、検疫や国内での対応強化のため注意喚起を行っています。エボラ出血熱の発生地域であるコンゴ民主共和国(北キブ州、イツリ州)から帰国された方は、検疫官に申告するようにしてください。 
 2018年8月1日(現地時間)、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国(旧ザイール)保健省は、同国北東部の北キブ州において、エボラ出血熱が発生したことを発表しました。2019年3月3日までに、北キブ州とイツリ州の両州において、563名の死亡例を含む、897例の患者(確定832例、疑い65例)が報告されています。2018年8月8日に高リスク群に対してのワクチン接種が始まり、2019年3月3日までに、85,375名がワクチンの接種を受けました。
 今回の発生地域では、反政府勢力による非人道的行為が行われており、以前より外務省から退避勧告が出されています。
<エボラ出血熱について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708.html


◆伝染性紅斑(りんご病)の報告が増えています
 伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによっておこる感染症であり、10〜20日の潜伏期間のあと、両頬に紅い発疹や手足にレース状の発疹がでることがあります。小児にみられることが多く、ほとんどは軽症で自然に治りますが、関節炎がみられたり、妊婦が感染すると、胎児の異常(胎児水腫)や流産になることがあるので注意が必要です。伝染性紅斑の感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。伝染性紅斑に対するワクチンがないため、予防には、手洗いや咳エチケットを心がけてください。
<感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-21.html
<伝染性紅斑とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ta/5th-disease.html


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 感染症発生情報
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■国内の感染症発生状況

◆IDWR 2019年第8週(第8号)(2019年3月8日)
 伝染性紅斑の定点医療機関当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっています。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2019.html


◆IASR  Vo.40, No.2 (No.468)(2019年2月)

 特集は「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症」です。
 関連情報として、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌病原体サーベイランス報告状況や、病院におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)検査方法などを取り上げています。
 
<IASR(病原微生物検出情報 月報)2019年2月号>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr.html


◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2019年3月8日)
 全国の定点医療機関当たり報告数は5.93

 2019年第9週(2019年2月25日〜2019年3月3日)のデータを公表しました。
 全国の定点医療機関当たり報告数は5.93となり、前週の8.99よりも減少しました。

<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html


■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2019年2月22日〜2019年3月8日掲載)

2019年02月28日 黄熱−ブラジル
https://www.forth.go.jp/topics/20190228.html
2019年02月22日 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV) - サウジアラビア
https://www.forth.go.jp/topics/20190222.html

中東呼吸器症候群(MERS)に関する注意
https://www.forth.go.jp/news/20181220.html

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 イベント情報
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◆ −肝炎研究、その先に見えるもの− AMED公開報告会を3月16日に開催します(主催:AMED) 
  
 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、肝炎等克服実用化研究事業の平成30年度公開報告会 −肝炎研究、その先に見えるもの− を、3月16日にイイノホール(東京都千代田区)にて開催します。 
 
  肝炎等克服実用化研究事業では、肝炎治療実績の大幅な改善につながるような研究開発を推進しています。平成30年度に創出された主な研究成果について、一般市民の皆様や患者とそのご家族、また関連分野の研究者、医療従事者、製薬企業及び医療機器業界の方々など、広く社会にご紹介する内容となっています。
 入場は無料となっておりますので、ふるってご参加下さい。
 プログラムやお申込み(事前登録制)等の詳細は以下のURLからご確認ください。 

<肝炎等克服実用化研究事業 公開報告会 開催案内サイト>
https://www.d-wks.net/amed190316/

※参考:平成29年度 肝炎等克服実用化研究事業 公開報告会 開催報告
https://www.amed.go.jp/news/event/page_000001_00541.html


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 コラムコーナー
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◆IDESコラム vol.38 「抗菌薬処方のジレンマ」
 IDES養成プログラム4期生:飯田康

 こんにちは。IDES 4期生の飯田康です。
 2019年のゴールデンウィークは10連休と国会の特別法案で可決され、今からご予定を立てられている方も多いかと思います。私は医師として働くようになってから、ゴールデンウィークも仕事で忙殺されるのが常になりました。
 今から5年前のゴールデンウィーク、生後10ヶ月の長女が体調を崩しました。私は、重症にはなるまい、薬も不要だし、病院にも連れて行く必要がないと判断しましたが、結果、肺炎で入院してしまいました。妻は、私の判断に激怒しました。「早く病院に連れて行って抗菌薬を処方してもらえば良かったのに、あなたが大した事無いと言って病院受診を渋っていたから。」と罵声を浴びせられたことを今でも克明に覚えております。

 その時、私が、長女の治療は不要と判断したのには理由がありました。
 抗菌薬を、安易に使うと抗菌薬が効かない薬剤耐性菌(AMR)が産まれることになり、患者自身だけでなく、人類全体が使える抗菌薬の種類が減ってしまう、つまり、健康を脅かす菌に対抗する武器が減ってしまうという問題を知っていたからです。このことを知っていた私は、抗菌薬の使用には慎重にならなければならないと、強く思っていました。

 多くの医師は、AMRを意識して「処方する」「処方しない」のジレンマに立っていると思いますし、苦悩もしていると思います。
 私もそんな医師の一人ですが、AMR以外にも気を付けていないと、抗菌薬を安直に処方して、困る理由を3つあげます。

 1つ目の理由です。抗菌薬は、悪さをする細菌を殺すだけでなく、患者さんに悪さをしない常在菌も殺されてしまいます。その結果、腸内のバランスが崩れてしまい、かえって体調を崩すことがあるといったデメリットもあります。

 2つ目の理由です。抗菌薬投与により、副作用が起こることがあります。皮疹や発熱、肝障害、腎障害など臨床の現場で経験しました。そう言えば医学生の頃、「薬(クスリ)は反対から読むと、リスクと読みます。どんな薬でも副作用は頭にいれて処方するように。」という金言を大学の先輩が教えてくれました。

 3つ目の理由です。抗菌薬投与開始を急ぐあまり、培養検体を採るのを忘れると、後々患者さんの容態が悪くなったときに、抗菌薬が効いていなくて具合が悪くなっているのか、他の原因で具合が悪くなっているのか判断がつかなくなるからです。感染症が徐々に進行しているのを見ると、一刻も早く対応しないといけないという焦る気持ちが起こるものです。私も、しんどそうな患者さんを目の前にして、「抗菌薬、抗菌薬、どれにしよう。」と急いでしまい、培養検体を採り忘れたことがありました。

 「抗菌薬を使う適切なとき」を判断する医師は、時に、とても難しい決断を迫られることがあります。苦悩や葛藤をしながらも、今が「抗菌薬を使う適切なとき」かどうかを注意深く判断する視点を持ち続けることが大切だと思っています。

参考
日本感染症学会 抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス(2017.8.21): 
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/1708_ASP_guidance.pdf


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(編集:成瀬浩史)
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