感染症エクスプレス@厚労省
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メールマガジンのバックナンバーです。

2018-11-22

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.372(2018年11月22日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■□■

【トピックス】
 ◆風しんの届出数が増えています
 ◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 ◆ワクチンで予防可能な疾患における公衆衛生人材育成(STOP VPDs)プログラム参加者を募集しています 
 ◆11月は薬剤耐性(AMR)対策推進月間です
 ◆世界エイズデーに向けた普及啓発イベントを11月29日に実施します
 ◆第1回日中韓ワンヘルスシンポジウムが12月4日に開催されます
 ◆聖路加国際大学・UNAIDS(国連エイズ合同計画)協定締結記念セミナーが11月30日に開催されます 
 ◆AMED事業J-GRIDプログラムによる市民向け成果報告会が1月18日に開催されます

【感染症発生情報】
 ◆インフルエンザの発生状況
 ◆IDWR
 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
  (2018年11月16日〜2018年11月22日掲載)

【イベント情報】
 ◆風しんの国内流行に関する市民公開講座及びシンポジウムが11月24日、25日に開催されます

【コラムコーナー】
 ◆IDESコラム vol.29 「米国での身近なAMR対策」

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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。

 現在、風しんの届出数が大幅に増加しています。2018年11月11日までに2,032例の届出があり、そのうち1,972例は7月23日以降の報告です。患者の多くは、30~50代の男性で、首都圏を中心に報告されています。

 詳細は本メールマガジンをご覧ください。

 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。

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 トピックス
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◆風しんの届出数が増えています
 現在、風しんの届出数が大幅に増加しています。2018年11月11日までに2,032例の届出があり、そのうち1,972例は7月23日以降の報告です。現在までで、昨年1年間の届出数の93人を大幅に上回っています。患者の多くは、30~50代の男性で、首都圏を中心に報告されています。
 妊娠中の女性(特に妊娠20週頃まで)が風しんに感染すると、先天性風しん症候群(CRS)の子どもが生まれてくる可能性があるため、注意が必要です。
10月2日には、厚生労働省は、風しんの発生届出数の増加が続いている東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県及び愛知県の5都県と日本産婦人科医会、労働部局に対して、協力依頼を発出し、全国の自治体に周知しました。とくにこれら5都県にお住まいで、妊婦、妊娠を希望する女性及び妊婦の同居家族の方は積極的に抗体検査を受けてください。また抗体検査の結果、抗体価が低かった妊娠希望女性及び妊婦の同居家族の方におかれましては、予防接種をご検討ください。
 その他の地域にお住まいの妊婦の方も特に風しんが発生している地域では、可能な限り外出を避け、人混みを避けるなど注意してください。
 詳細は風しんに関するQ&Aをご参照ください。

<風しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
<風疹 発生動向調査 2018年第45週(’18/11/14現在)>
https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/rubella/2018pdf/rube18-45.pdf

【通知・事務連絡等】
<風しんの届出数の増加が認められる都県における風しん対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_1.pdf
<風しんの届出数の増加に伴う対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_2.pdf
<風しんの届出数の増加が認められる5都県における産科医療機関と連携した風しん対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_3.pdf
<風しん対策に関する通知の発出について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_4.pdf
<職域における風しん対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_5.pdf

【リーフレット】
<体調不良の時はムリしないで>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster15.pdf
<妊娠を希望する女性、妊婦とそのご家族へ>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster14.pdf
<職場は風しん予防対策をしてますか>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster13.pdf


◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 厚生労働省では、検疫や国内での対応強化のため注意喚起を行っています。エボラ出血熱の発生地域であるコンゴ民主共和国(北キブ州)から帰国された方は、検疫官に申告するようにしてください。 
 2018年8月1日(現地時間)、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国(旧ザイール)保健省は、同国北東部の北キブ州において、エボラ出血熱が発生したことを発表しました。11月18日までに216名の死亡例を含む、373例の患者(確定326例、疑い47例)が報告されています。8月8日に高リスク群に対してのワクチン接種が始まり、11月19日までに、32,108名がワクチンの接種を受けました。
 10月17日、今回のエボラ出血熱の流行に関する緊急委員会がWHOで開催されました。現段階では「国際的に懸念される公衆衛生上の危機(PHEIC)」ではない、との見解が示されましたが、今後も対策をさらに強化する必要があるとの提言がなされました。
 今回の発生地域では、反政府勢力による非人道的行為が行われており、以前より外務省から退避勧告が出されています。
<エボラ出血熱について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708.html


◆ワクチンで予防可能な疾患における公衆衛生人材育成(STOP VPDs)プログラム参加者を募集しています 
 WHO(世界保健機関)は、WHO西太平洋地域事務局(WPRO)圏内での機能強化を目指し、1年間のアフリカでの研修の後にWPRO圏内にある国で最低1年間の勤務を課すプログラムを、2019年より開始することとなりました。当該プログラムは、Vaccine Preventable Diseases(VPDs)を中心とした感染症対策の専門家の養成する方針としています。これを受け、厚生労働省健康局結核感染症課は、プログラム参加者を推薦する体制を構築することで、米国CDCやWHOと協力して感染症公衆衛生専門家を育成していきます。 
【対  象】国際感染症対策に関心があり、プログラム修了後もこの領域で国際的に貢献する意志のある者 
【応募期間】平成30年11月2日〜11月30日(当日消印有効) 

ご興味のある方は、こちらのリンクをご覧下さい。
<国際感染症対策人材育成実施要項>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ikusei/02index.html


◆11月は薬剤耐性(AMR)対策推進月間です
 薬剤耐性(AMR)に係る全国的な普及啓発活動を推進するため、毎年11月を「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」としています。 薬剤耐性(AMR)対策推進月間では、政府機関だけではなく民間の様々な団体が一体となって、普及啓発に係る取組を重点的に実施していくとともに、同月間を通じて国民一人ひとりの主体的な取組を促していくものです。厚生労働省では、AMR臨床リファレンスセンターを通して様々な企画を行う予定です。広く国民の皆様に薬剤耐性(AMR)についての認識を深めていただく機会になることを願っています。
<薬剤耐性(AMR)対策推進月間(11月)における取組予定について(平成30年度)>
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/infection/activities/amr/h30_taisakusuisin.html
<AMR臨床リファレンスセンター>
http://amr.ncgm.go.jp/
<厚生労働省:薬剤耐性(AMR)対策について>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html


◆世界エイズデーに向けた普及啓発イベントを11月29日に実施します
 厚生労働省は、12月1日の世界エイズデーに向け、HIV/エイズに関する正しい知識の啓発やHIV検査の普及を目的として、以下のとおり、普及啓発イベントを実施します。
 イベントの模様はインターネットにより生中継しますので、ぜひご視聴下さい。
<イベント内容>
RED RIBBON LIVE 2018 〜平成が終わる前に「贈る言葉」〜
【日 時】11月29日(木)18:30〜21:15(予定)
【場 所】マイナビBLITZ赤坂(東京都港区)
【出演者】蒼井そら、一徹、今村顕史、岩本愛吉、押尾コータロー、海援隊、こにわ、紗倉まな、関取花、TERU(GLAY)、はなわ、隼斗、ビッケブランカ、ペンギンズ、ホリ、ゆってぃ、若旦那(50音順)
【M C】山本シュウ(総合プロデューサー)、市川美織
※敬称略
【実施内容】ラジオDJ山本シュウ(レモンさん)の呼び掛けに賛同したアーティスト、タレントたちがマイナビBLITZ赤坂に集結。トークとライブにより、イベントを通じて幅広い世代の人々に予防啓発のメッセージを発信
(1)山本シュウを司会として、タレントなどによるHIV/エイズに関するトーク
(2)アーティストによるライブ
(3)イベントの模様をインターネット(ニコニコ動画)により生中継。後日、一部動画を配信(予定)。
【視聴方法】「RED RIBBON LIVE」オフィシャルサイトに生中継、配信を行うサイトのリンクを掲載
RED RIBBON LIVEオフィシャルサイト:http://redribbonlive.net/

<プレスリリース>
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000183582_00001.html


◆第1回日中韓ワンヘルスシンポジウムが12月4日に開催されます
 国立感染症研究所、中国疾病管理予防センター、韓国疾病管理予防センターによる共催で、このシンポジウムでは、日本、中国及び韓国の重症熱性血小板症候群(SFTS)の予防・診断・治療に関する研究成果が報告されます。
【タイトル】重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の予防・診断・治療に関する研究成果
【日  時】2018年12月4日(火)12:30〜17:00 
【会  場】池袋サンシャインシティ会議室
【参加費】無料  
【参加方法】事前申込はこちらから https://www.niid.go.jp/niid/ja/international.html


◆聖路加国際大学・UNAIDS(国連エイズ合同計画)協定締結記念セミナーが11月30日に開催されます 
 UNAIDS(国連エイズ合同計画)は、日本を含むアジア太平洋地域におけるエイズ対策の推進、関連機関と協同したアジア・日本のHIV/エイズに関する疫学的および公衆衛生学的研究に焦点を当て、共通の目標を達成するための行動計画を策定したいと考えております。その一環で、聖路加国際大学とUNAIDSの協定締結に際し、記念セミナー『世界エイズデー30周年記念:エイズとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ』を実施することとなりました。 
 講演は全て英語で行われ、関心をお持ちの方であればどなたでもご参加いただけます。また、講演終了後に予定されているレセプションにおいて、講演者の方と交流いただける機会を設けております。 
  
【タイトル】聖路加国際大学・UNAIDS(国連エイズ合同計画)協定締結記念セミナー『世界エイズデー30周年記念:エイズとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ』 
【日  時】2018年11月30日(金)17:30-19:00 
【会  場】大村進・美枝子記念聖路加臨床学術センターB1 日野原ホール(〒104-0045東京都中央区築地3丁目6-6-2) 
  
<【11/30】聖路加国際大学・UNAIDS(国連エイズ合同計画)協定締結記念セミナー『世界エイズデー30周年記念:エイズとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ』> 
http://university.luke.ac.jp/sph/ja/event/UNAIDS_seminar_20181130.php 


◆AMED事業J-GRIDプログラムによる市民向け成果報告会が1月18日に開催されます
 交通網の発達にともない、人やモノの流れと一緒に感染症も海外から侵入してくる可能性が高まっています。J-GRIDでは、日本人研究者たちが実際に感染症の流行地にて、病原体の解明や新たな診断・治療薬の開発など、感染症の制御を目指し研究を進めています。本成果報告会では、インフルエンザ、デング熱など、最新の研究報告を市民の皆様に解説します。多くの方のご参加をお待ちしております。
【タイトル】 海外から侵入してくる感染症 ー流行地で病原体と闘う日本人研究者たちー
【日 時】平成31年1月18日(金)13:00~16:30
【会 場】フクラシア丸の内オアゾ Hall A (東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング16階)
【主催】国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 (AMED)
【定員】200名 参加無料
【詳細】 https://www.amed.go.jp/news/event/20190118_jgrid.html
【参加方法】以下URLよりお申し込みください。
https://krs.bz/amed/m?f=563


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 感染症発生情報
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■国内の感染症発生状況

◆インフルエンザの発生状況
 2018年第46週(11月12日〜11月18日)のデータは、11月26日に公表する予定です。
<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html


◆IDWR 
2018年第45週(第45号)は、11月26日に公表する予定です。
<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2018.html


■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2018年11月16日〜2018年11月22日掲載)
更新はありません。


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 イベント情報
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◆風しんの国内流行に関する市民公開講座及びシンポジウムが11月24日、25日に開催されます
 最近の風しんの流行を鑑みて、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者 大石和徳)では、多くの方に風しんについて理解を深めていただき、また医療関係者・研究者間での議論を促進するために、市民公開講座及びシンポジウムを開催いたします。

【タイトル】市民公開講座「風しんから妊婦を守るために」
【日 時】2018年11月24日(土)14:00〜17:00
【開催場所】AP浜松町(東京都港区芝公園2-4-1芝パークビルB館地下1階)
【参加費】無料  
【参加方法】事前申込はこちらから⇒ https://rubella.jp/

【タイトル】シンポジウム「わが国の風しん排除を目指して」 (Toward Rubella Elimination in Japan)−本シンポジウムは、行政関連者、医療関係者、研究者等を対象とします−
【日 時】2018年11月25日(日)9:30〜13:00
【開催場所】 AP浜松町(東京都港区芝公園2-4-1芝パークビルB館地下1階)
【参加費】無料  
【参加方法】事前申込はこちらから⇒ https://rubella.jp/


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 コラムコーナー
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◆IDESコラム vol.29 「米国での身近なAMR対策」
 (IDES養成プログラム3期生:高橋 里枝子)

 こんにちは。IDES3期の高橋里枝子です。私は現在、米国のCDC(Center for Disease Control and Prevention: 米国疾病予防管理センター)に派遣されています。感染症の専門家が集まるこのCDCに勤務することは、私の長年の憧れでした。今は、憧れた職場で、毎日、多くのことを学びながら、日本と米国の協力関係を築くことが出来るよう、リエゾン業務に従事しています。
 CDCはBSL4施設と呼ばれる、厳密な安全管理が必要な病原体を扱う施設を所有しているため、入構のためには厳しい身上調査が必要です。一方で、施設外に出ると周囲はコンビニエンスストアやレストランが並んでおり、12時になると同僚と道を渡ってランチ休憩を取る人を多くみかけます。米国のコンビニのスケールの大きさにいつも驚かされますが、日本とは、規模だけではなく、内容も異なります。例えば、日本では処方箋が必要になる医療用医薬品も米国では一般用医薬品(OTC医薬品)として陳列され、品揃えも充実しています。
 一般用医薬品が充実している理由として、薬局を併設しているコンビニが普及していることがあるかもしれません。この薬局併設型のコンビニには、薬剤師が駐在しており、薬剤についての相談や、処方箋の調剤が可能で、健康への意識の高い人にとっては、医療従事者に気軽に相談できる場として、まさにコンビニエンスなお店であると思います。先週のコラムでは英国の薬局での予防接種について紹介されていましたが、米国でも薬局を併設したコンビニでインフルエンザの予防接種を受けることが出来ます。甘いものが大好きな私は、よくコンビニで大きな袋入りのチョコレートを買うのですが、レジでチョコレートの会計をしながらインフルエンザの予防接種を勧められることがあります。英国と同様に米国の薬剤師もインフルエンザの予防において重要な役割を果たしていることが分かります。
 また、インフルエンザに限らず、様々な医療の提供において薬剤師は大きな役割を果たしています。例えば、薬剤耐性(Antimicrobial resistance:AMR)対策においても、キーパーソンとして位置づけられています。
 世界中で重要な課題となっているAMRですが、私は、CDC派遣中のミッションの一つに、このAMR対策について学び、日本でも応用できるプログラムについて模索する、という事を挙げています。これまで学んだ中で特に印象的だったのは、適正使用のプログラムにおいて、(1)薬剤師の役割が重要視されていることと、(2)医師を対象としたプログラムで行動科学を応用していることでした。多くの人がコンビニへ薬を取りに行くため、地域に根付いたコンビニで働いている薬剤師に、抗菌薬の適正使用の重要性を理解してもらうことで、来店者に対して、抗菌薬の適正使用を促してもらい、薬剤耐性菌を減らしていくという考え方です。また、処方箋を書く立場にある医師に対しては、啓発だけではなく、処方に至る心理を考慮したプログラムが実施されています。
 医師が抗菌薬を処方する理由は、AMRに対する知識が不足しているのではなく、患者が抗菌薬を希望しているのではないかという思い込みやプレッシャーがあるため、という研究結果があります。そのため、医師だけへの啓発だけではなく、医師と患者との「関係」に注目したプログラムにも重点が置かれており、患者が抗菌薬の適正使用について理解しているという前提で診察を開始できるよう、待合室に「私は抗菌薬が有効な時のみ処方します」と示したコミットメントポスターを掲示するなどの取り組みが行われています。
 米国CDCでは11月12日の週を 「U.S. Antibiotic Awareness Week」とし、AMRの問題や適正使用の重要性について、オンラインセミナーやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通して啓発が行われました。日本では11月が「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」に設定されており、AMRに関する普及啓発に係る取り組み等を実施しています。AMR対策においては、薬剤師や医師を含む医療関係者の参加が不可欠ですが、私たち一人ひとりのAMRに対する理解も重要です。まずは、抗菌薬に対する正しい知識を得ること、指示通りに内服すること、他人に渡さないことなどが、はじめの一歩です。有効な抗菌薬を未来でも使えるようにするための取り組み、このAMR対策推進月間を機に興味を持って頂けたら幸いです。

参考資料
・During U.S. #AntibioticAwareness Week, #BeAntibioticsAware and learn when #antibiotics are needed and when they’re not. http://bit.ly/2DtzCvp #USAAW18


●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で3年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。

<感染症危機管理専門家(IDES)養成プログラム>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ides/index.html
<「感染症危機管理専門家(IDES)養成プログラム」採用案内>
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/saiyou/kikikanri/index.html

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<コラム バックナンバー>
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