感染症エクスプレス@厚労省
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メールマガジンのバックナンバーです。

2018-11-09

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.370(2018年11月9日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■□■

【トピックス】
 ◆風しんの届出数が増えています
 ◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 ◆ワクチンで予防可能な疾患における公衆衛生人材育成(STOP VPDs)プログラム参加者を募集しています
 ◆HTLV-1対策講演会〜HTLV-1についてもっと知りましょう〜を開催します
 ◆HTLV-1の啓発マンガを作成しました
 ◆政府広報オンライン「新型インフルエンザ」WEBサイトを改訂しました
 ◆11月29日(木)、世界エイズデーに向けた普及啓発イベントを実施します

【感染症発生情報】
 ◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2018年11月9日)
 ◆IDWR 2018年第43週(第43号)(2018年11月9日)
 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
  (2018年11月2日〜2018年11月9日掲載)

【イベント情報】
 ◆風しんの国内流行に関する市民公開講座及びシンポジウムが開催されます
 ◆サイエンスアゴラ2018で「大阪大学微生物病研究所 日・タイ感染症共同研究センターセミナー」が11月10日に開催されます
 ◆サイエンスアゴラ2018で「感染症研究教育拠点連合のセミナー」が11月10日に開催されます

【コラムコーナー】
 ◆IDESコラム vol.27 「健康危機を探知する」

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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。

 現在、風しんの届出数が大幅に増加しています。2018年10月28日までに1,692例の届出があり、そのうち1,632例は7月23日以降の報告です。患者の多くは、30〜50代の男性で、首都圏を中心に報告されています。

 詳細は本メールマガジンをご覧ください。

 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。

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 トピックス
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◆風しんの届出数が増えています
 現在、風しんの届出数が大幅に増加しています。2018年10月28日までに1,692例の届出があり、そのうち1,632例は7月23日以降の報告です。現在までで、昨年1年間の届出数の93人を大幅に上回っています。患者の多くは、30~50代の男性で、首都圏を中心に報告されています。
 妊娠中の女性(特に妊娠20週頃まで)が風しんに感染すると、先天性風しん症候群(CRS)の子どもが生まれてくる可能性があるため、注意が必要です。
 10月2日には、厚生労働省は、風しんの発生届出数の増加が続いている東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県及び愛知県の5都県と日本産婦人科医会、労働部局に対して、協力依頼を発出し、全国の自治体に周知しました。とくにこれら5都県にお住まいで、妊婦、妊娠を希望する女性及び妊婦の同居家族の方は積極的に抗体検査を受けてください。また抗体検査の結果、抗体価が低かった妊娠希望女性及び妊婦の同居家族の方におかれましては、予防接種をご検討ください。
 その他の地域にお住まいの妊婦の方も特に風しんが発生している地域では、可能な限り外出を避け、人混みを避けるなど注意してください。
 詳細は風しんに関するQ&Aをご参照ください。

<風しんについて>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
<風疹 発生動向調査 2018年第43週(’18/10/31現在)>
https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/rubella/2018pdf/rube18-43.pdf

【通知・事務連絡等】
<風しんの届出数の増加が認められる都県における風しん対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_1.pdf
<風しんの届出数の増加に伴う対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_2.pdf
<風しんの届出数の増加が認められる5都県における産科医療機関と連携した風しん対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_3.pdf
<風しん対策に関する通知の発出について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_4.pdf
<職域における風しん対策について>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_5.pdf

【リーフレット】
<体調不良の時はムリしないで>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster15.pdf
<妊娠を希望する女性、妊婦とそのご家族へ>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster14.pdf
<職場は風しん予防対策をしてますか>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/poster13.pdf


◆コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生しています
 厚生労働省では、検疫や国内での対応強化のため注意喚起を行っています。エボラ出血熱の発生地域であるコンゴ民主共和国(北キブ州)から帰国された方は、検疫官に申告するようにしてください。 
 2018年8月1日(現地時間)、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国(旧ザイール)保健省は、同国北東部の北キブ州において、エボラ出血熱が発生したことを発表しました。11月6日までに191名の死亡例を含む、308例の患者(確定273例、疑い35例)が報告されています。8月8日に高リスク群に対してのワクチン接種が始まり、11月6日までに、26,724名がワクチンの接種を受けました。
 10月17日、今回のエボラ出血熱の流行に関する緊急委員会がWHOで開催されました。現段階では「国際的に懸念される公衆衛生上の危機(PHEIC)」ではない、との見解が示されましたが、今後も対策をさらに強化する必要があるとの提言がなされました。
 今回の発生地域では、反政府勢力による非人道的行為が行われており、以前より外務省から退避勧告が出されています。
<エボラ出血熱について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708.html


◆ワクチンで予防可能な疾患における公衆衛生人材育成(STOP VPDs)プログラム参加者を募集しています 
 WHO(世界保健機関)は、WHO西太平洋地域事務局(WPRO)圏内での機能強化を目指し、1年間のアフリカでの研修の後にWPRO圏内にある国で最低1年間の勤務を課すプログラムを、2019年より開始することとなりました。当該プログラムは、Vaccine Preventable Diseases(VPDs)を中心とした感染症対策の専門家の養成する方針としています。これを受け、厚生労働省健康局結核感染症課は、プログラム参加者を推薦する体制を構築することで、米国CDCやWHOと協力して感染症公衆衛生専門家を育成していきます。 
【対  象】国際感染症対策に関心があり、プログラム修了後もこの領域で国際的に貢献する意志のある者 
【応募期間】平成30年11月2日〜11月30日(当日消印有効) 

ご興味のある方は、こちらのリンクをご覧下さい。
<国際感染症対策人材育成実施要項>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ikusei/02index.html


◆HTLV-1対策講演会〜HTLV-1についてもっと知りましょう〜を開催します
 日本HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)学会が11月10日を「世界HTLVデー」と制定しました。
 「HTLV-1の日」にあわせて、HTLV-1について国民のみなさまに正しく知っていただくための講演会を開催します。HTLV-1は,ATL(成人T細胞白血病)やHAM(HTLV-1関連脊髄症)等といった病気を引き起こします。
【日 時】2018年11月10日(土)14:00〜16:00
【開催場所】鹿児島県医師会館3階中ホール(鹿児島市中央町8-1)
【参加費】無料(事前申込は不要)
【内 容】
 講演(1)「HTLV-1に対する国の取組」(仮)三宅邦明氏(厚生労働省健康局結核感染症課長)
 講演(2)「昨今のHTLV-1関連研究の状況について」(仮)吉井史歩氏(厚生労働省健康局結核感染症課主査)
 講演(3)「ATLについて」(仮)石塚賢治氏(鹿児島大学教授)
 講演(4)「HAMについて」(仮)松浦英治氏(鹿児島大学准教授)
 パネルディスカッション
 【パネリスト】
  宇都宮與氏(今村総合病院名誉院長)
  根路銘安仁氏(鹿児島大学教授)
  松崎敏男氏(大勝病院医師)
  菅付加代子氏(NPO法人スマイルリボン代表理事)
  池上真弓氏(カランコエかごしま代表)

<HTLV-1対策講演会〜HTLV-1についてもっと知りましょう〜を開催します>
http://www.pref.kagoshima.jp/ae06/kenko-fukushi/kenko-iryo/kansen/atl/htlv-1h30kouennkai.html


◆HTLV-1の啓発マンガを作成しました
 厚生労働省は、より多くの方々にHTLV-1を正しく知ってもらうため、オリジナルマンガを作成しました。
 「HTLV-1」の感染者は、全国で約82万人※いると推定されています。さらなる感染者を増やさないためには、若者から中高年までの幅広い層に向けて、このウイルスに関する正しい認知を広めるとともに、母子感染などの予防可能な感染症を確実に防ぐための取り組みが必要です。
 そこで今回、より多くの国民の皆様にHTLV-1について知っていただくために、オリジナルのマンガを作成しました。
 厚生労働省のWEBサイトよりダウンロード可能となっています。是非ご活用ください。
<HTLV-1>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou29/
※ 平成28年 第10回HTLV−1対策推進協議会資料(HTLV-1疫学研究及び検査法の標準化に関する研究)に基づく

◆政府広報オンライン「新型インフルエンザ」WEBサイトを改訂しました
 本年はスペイン風邪から100年、来年は2009年の新型インフルエンザ発生から10年の節目の年となります。
昨今は新型インフルエンザが話題にあがる機会が減り、皆様の記憶から薄れつつあることから、インフルエンザに関連する対策や、対策の理由、対応方法、当時の状況などを含めて解説するため、政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報」のWEBサイトを改訂しました。

<政府広報オンライン「新型インフルエンザの発生に備えて〜一人ひとりができる対策を知っておこう」>
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201811/2.html


◆11月29日(木)、世界エイズデーに向けた普及啓発イベントを実施します
 厚生労働省は、12月1日の世界エイズデーに向け、HIV/エイズに関する正しい知識の啓発やHIV検査の普及を目的として、以下のとおり、普及啓発イベントを実施します。
<イベント内容>
RED RIBBON LIVE 2018 〜平成が終わる前に「贈る言葉」〜
【日 時】11月29日(木)18:30〜21:15(予定)
【場 所】マイナビBLITZ赤坂(東京都港区)
【出演者】蒼井そら、今村顕史、岩本愛吉、押尾コータロー、海援隊、こにわ、紗倉まな、関取花、はなわ、隼斗、ビッケブランカ、ペンギンズ、ホリ、ゆってぃ、若旦那(50音順)
【M C】山本シュウ(総合プロデューサー)、市川美織
※敬称略
【実施内容】ラジオDJ山本シュウ(レモンさん)の呼び掛けに賛同したアーティスト、タレントたちがマイナビBLITZ赤坂に集結。トークとライブにより、イベントを通じて幅広い世代の人々に予防啓発のメッセージを発信
(1)山本シュウを司会として、タレントなどによるHIV/エイズに関するトーク
(2)アーティストによるライブ
(3)イベントの模様をインターネット(ニコニコ動画等)により生中継(予定)。後日、一部動画をアーカイブ配信(予定)。
           ※告知サイトに生中継、配信を行うサイトのリンクを掲載
【参加費】無料(抽選による招待制)	
【参加方法】抽選で500名を招待  応募締切11月18日(日)23:59
<告知サイト 「レッドリボンライブ」オフィシャルサイト>
http://redribbonlive.net/

<プレスリリース>
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000183582_00001.html


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 感染症発生情報
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■国内の感染症発生状況

◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2018年11月9日)
 全国の定点医療機関当たり報告数0.21

 2018年第44週(10月29日〜11月4日)のデータを公表しました。
 全国の定点医療機関当たり報告数は0.21となり、前週の0.19よりも増加しました。

<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html


◆IDWR 2018年第43週(第43号)(2018年11月9日)
 伝染性紅斑の定点医療機関当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっています。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2018.html


■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2018年11月2日〜2018年11月9日掲載)
2018年11月07日 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV) - サウジアラビア NEW
https://www.forth.go.jp/topics/20181107.html
2018年11月02日 伝搬型ワクチン由来ポリオウイルス2型 - ニジェール
https://www.forth.go.jp/topics/20181102.html


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 イベント情報
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◆風しんの国内流行に関する市民公開講座及びシンポジウムが開催されます
 最近の風しんの流行を鑑みて、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者 大石和徳)では、多くの方に風しんについて理解を深めていただき、また医療関係者・研究者間での議論を促進するために、市民公開講座及びシンポジウムを開催いたします。

【タイトル】市民公開講座「風しんから妊婦を守るために」
【日 時】2018年11月24日(土)14:00〜17:00
【開催場所】AP浜松町(東京都港区芝公園2-4-1芝パークビルB館地下1階)
【参加費】無料  
【参加方法】事前申込はこちらから⇒ https://rubella.jp/

【タイトル】シンポジウム「わが国の風しん排除を目指して」 (Toward Rubella Elimination in Japan)−本シンポジウムは、行政関連者、医療関係者、研究者等を対象とします−
【日 時】2018年11月25日(日)9:30〜13:00
【開催場所】 AP浜松町(東京都港区芝公園2-4-1芝パークビルB館地下1階)
【参加費】無料  
【参加方法】事前申込はこちらから⇒ https://rubella.jp/


◆サイエンスアゴラ2018で「大阪大学微生物病研究所 日・タイ感染症共同研究センターセミナー」が11月10日に開催されます
 本セミナーはサイエンスアゴラ2018の一環として開催されます。タイやミャンマーで実施してきたコレラ菌など熱帯感染症の野外調査や研究成果を例に、参加者の皆さんと感染症とそれを取り巻く問題について考えます。
 実はコレラはかつて日本で流行したこともあるのをご存知でしょうか?感染症は単なる微生物感染の結果ではなく、貧困や社会インフラの未熟、戦争など様々な社会的・文化的要因が背後にあります。感染症を通じて、世界の様々な問題について、考えてみましょう。安心・安全とされる日本が、また違った観点で見られるかもしれません。 

【タイトル】感染による下痢と食中毒 〜東南アジアでコレラに挑む〜
【日  時】2018年11月10日(土)12:45〜14:15 
【会  場】テレコムセンタービル 8F会議室C (東京都江東区青海2-5−10)

<サイエンスアゴラ2018>
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/ 
<サイエンスアゴラ出展番号138>             
https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/booth/138/ 
<大阪大学微生物病研究所 日・タイ感染症共同研究センター> 
http://rcc-eri.biken.osaka-u.ac.jp/ 
<AMED感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)>
 https://www.amed.go.jp/program/list/01/06/001.html
※日・タイ感染症共同研究センターはAMED感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)の支援を受けて活動しています。 


◆サイエンスアゴラ2018で「感染症研究教育拠点連合のセミナー」が11月10日に開催されます
 本セミナーはサイエンスアゴラ2018の一環として開催されます。感染症研究教育拠点連合(北海道大学、東京大学、大阪大学、長崎大学)が、エボラウイルス病、インフルエンザ・ジカ熱・結核等の感染症の克服に向けた国際共同研究について、これまでの取り組み、今後の活動について、お話しします。 

【タイトル】感染症克服を目指したオールジャパン戦略
【日  時】2018年11月10日(土) 10:30〜12:00
【会  場】テレコムセンター  8階会議室B (東京都江東区青海2-5−10)

https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/booth/133/
【参加方法】下記URLよりお申し込みください。※氏名・所属・連絡先を記載下さい。ご質問も受け付けています。
 gaibu1@vetmed.hokudai.ac.jp 
<サイエンスアゴラ2018>
https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/
<サイエンスアゴラ出展番号133>             
https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/booth/133/
<AMED感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)>
https://www.amed.go.jp/program/list/01/06/001.html
※北海道大学、東京大学、大阪大学、長崎大学はAMED感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)の支援を受けて活動しています。

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 コラムコーナー
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◆IDESコラム vol.27 「健康危機を探知する」
 (IDES養成プログラム3期生:神代和明)

 こんにちは。IDES3期の神代和明です。
 私は小さな頃からスパイ映画が大好きで、50年以上にわたって愛され、製作されている「007」、秘密諜報組織IMFのメンバーが活躍する「スパイ大作戦」、スパイ大作戦の映画版で、トムクルーズが扮するイーサン・ハントとそのチームの活躍を描く「ミッション:インポッシブル」等、メジャーなスパイの映画やテレビシリーズはほとんど観ております。小学生の頃に英語を喋れるようになりたい、勉強したいと思ったのも、英語を話せるようになれば、いつかは、かっこいいスパイになれるのではないかという淡い期待を抱いていました。今では、スパイとしての主人公に憧れると言うより、精神的、身体的にタフなヒーロー・ヒロインが、カラフルなガジェットを駆使して、困難な課題に挑戦し、諦めずに成し遂げる姿に、中年になった今でも、憧憬を抱いてしまいます。

 先日、ミッション・インポッシブルの新作映画を観ながら考えたことがあります。ジェームス・ボンドやイーサン・ハントは、情報に基づいて、「シンジケート」や「スペクター」といった悪の組織が活動している現場に派遣され、活躍をします。したがって、信頼に足る情報の収集と、その検証、さらには得た情報から悪の組織の活動が世界にどんなリスクがあるのかを評価することは、その後の活動につながるので大変重要になります。したがって、ミッション・インポッシブルを例でいうと、IMFには、世界各国から得た多大な情報を分析・評価するチームあるいは部門があり、イーサン・ハントの派遣にたるか、すなわち他の組織では完遂できないインポッシブル(不可能)なミッション(任務)であるか日々判断していると推察されます。

 前置きが長くなりましたが、私は、今年の5月よりスイス ジュネーブにある世界保健機関(WHO)にございます健康危機管理プログラム(WHE)に派遣され、WHEの中でも、Detection, Verification, Risk Assessment (DVA) チーム、直訳すると探知・検証・リスク評価部門に所属しております。具体的な業務は、感染症アウトブレイクや健康危機、あるいはその危険性がある事象の探知、検証およびその評価に携わっています。ここで吟味した情報をWHOのリージョナルオフィス、最終的には国々へフィードバックし、必要であれば現場への対応や活動のための派遣につなげます。

 健康危機やアウトブレイクの封じ込めを行うための、探知→検証→評価→情報共有→現場調査の一連のプロセスを、Epidemic Intelligence (EI)とよびます。探知される情報はさまざまなチャネルからはいってきますが、indicator based surveillance (IBS)と呼ばれる各国の公式なサーベイランス情報等に由来するものだけでなく、event based surveillance (EBS)と呼ばれるメディア情報や非公式な情報をも参考にしています。メディア情報やあるいは時にはインターネット上の噂を探知するEBSは、IBSと同等に大変重要で、2003年に世界中で大きな問題となった、重症急性呼吸器症候群(SARS)は、EBSで最も早く探知された例の一つです。日々の業務でもEBSを介して、新しい感染症アウトブレイクを探知する例はよくあり、EIに欠かせないものとなっています。

 悪と戦う スパイジェームス・ボンドやイーサン・ハントというよりは、その後ろにいる裏方として、世界の健康危機を探知し対応する仕事は、私にとって大きなモチベーションとなっています。日本の裏側ではありますが、日本だけではなく、世界の皆様の健康、ひいては平和に貢献できればと考えております。

参考文献
・地球規模での健康危機管理体制強化に向けたWHOの取り組み 
小玉千織・中谷比呂樹 
モダンメディア 63巻11号2017 [グローバル化時代の医療・検査事情13]
・SARS: A Global Response to an International Threat. 
David L. Heymann and Guenael Rodier
The Brown Journal of World Affairs Vol. 10, No. 2 (WINTER / SPRING 2004), pp. 185-197

●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で3年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。

<感染症危機管理専門家(IDES)養成プログラム>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ides/index.html
<「感染症危機管理専門家(IDES)養成プログラム」採用案内>
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/saiyou/kikikanri/index.html

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