感染症エクスプレス@厚労省
バックナンバー
メールマガジンのバックナンバーです。

2018-03-16

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.338(2018年3月16日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【トピックス】
 ◆HTLV-1の啓発活動に「はたらく細胞」を起用(2018年3月16日)
 ◆ロタウイルス感染症の報告が増えています

【審議会・研究会等】
 ◆第12回HTLV-1対策推進協議会を開催しました(2018年3月15日)

【感染症発生情報】
 ◆IDWR 2018年第9週(第9号)(2018年3月16日)
 ◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2018年3月16日)
  全国の定点医療機関当たり報告数12.05
 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
  (2018年3月9日〜2018年3月16日掲載)

【イベント情報】
 ◆ −最新研究からみえてくる肝炎克服− AMED公開報告会を3月17日に開催します(主催:AMED)

【コラムコーナー】
 ◆IDESコラム vol.15「大切なことは目に見えない」

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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。
  
 厚生労働省は、「HTLV−1(ヒトT細胞白血球ウイルス1型)」を正しく理解してもらうことを目的に、TVアニメ「はたらく細胞」とコラボレーションを行い、ポスターとリーフレットの配布などを通じた啓発活動を実施しています。
 また、ロタウイルス感染症の報告が増え始めていますので、オムツ等の適切な処理で感染防止をしましょう。また、院内感染も防止するためにも、医療従事者は手洗いの徹底を心がけてください。

 詳細は本メールマガジンをご覧ください。

 引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。

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 トピックス
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◆HTLV-1の啓発活動に「はたらく細胞」を起用(2018年3月16日)

 厚生労働省は、「HTLV−1(ヒトT細胞白血球ウイルス1型)」を正しく理解してもらうことを目的に、TVアニメ「はたらく細胞」(原作:講談社「月刊少年シリウス」で連載中)とコラボレーションを行い、ポスターとリーフレットの配布などを通じた啓発活動を実施します。

 「HTLV−1」は、血液中にあるリンパ球に感染するウイルスです。このウイルスに感染しても、そのほとんどの人が生涯病気を発症しないため、疾患そのものへの関心が持たれにくいという現状があります。また、医療従事者の間でも「HTLV−1」の認知度は低いため、HTLV−1関連疾患であるATL(成人T細胞白血病・リンパ腫)や、HAM(HTLV−1関連脊髄症)の診断が遅れてしまうこともあります。
 「HTLV−1」の感染者は、全国で約82万人いると推定されています。さらなる感染者を増やさないためには、若者から中高年までの幅広い層に向けて、このウイルスに関する認知を広め、母子感染の予防などによって、次世代にウイルス感染を伝えない取り組みが重要です。そこで今回、「はたらく細胞」とのコラボレーションを通じた啓発活動を行うこととなりました。
 「はたらく細胞」は、累計発行部数150万部突破の体内細胞擬人化漫画で、今年7月にTVアニメ化が決定した作品です。リンパ球の一種であるヘルパーT細胞は、「HTLV−1」に感染することで異常を起こし、「ATL」や「HAM」を発症させると言われているため、今回、擬人化したヘルパーT細胞のキャラクターが、ポスターやリーフレットの中で、『HTLV−1を正しく知ってください。』と呼びかけます。
 ポスター(約3,200部)とリーフレット(約13万部)は、全国の自治体・保健所などへ配布します。また、画像は、3月15日から厚生労働省WEBサイトでダウンロードできます。

<HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する情報>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou29/
<プレスリリース>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197632.html
<twitter>
https://twitter.com/MHLWitter/status/974149800210743298


◆ロタウイルス感染症の報告が増えています

 2月後半よりロタウイルス感染症の報告数が増えています。ロタウイルス感染症は主に乳幼児の下痢症を引き起こすウイルス感染症であり、毎年3月〜4月を患者報告数のピークとして、5月頃まで流行が続きます。
 下痢、嘔吐のために水分摂取できない乳幼児が入院することも少なくありません。ロタウイルスの感染経路は主に糞口感染であり、患者の排泄物中に多量のウイルス粒子が含まれているため、オムツ等の適切な処理が感染防止の基本です。院内感染を防止するためにも、医療従事者は手洗いの徹底を心がけてください。

<ロタウイルスに関するQ&A>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/
<国立感染症研究所:ロタウイルス感染性胃腸炎とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/3377-rota-intro.html


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 審議会・研究会等
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◆第12回HTLV-1対策推進協議会を開催しました(2018年3月15日)

 3月15日に「第12回HTLV-1対策推進協議会」を開催しました。
 HTLV-1総合対策の一層の推進を目指し、体内細胞擬人化TVアニメ「はたらく細胞」とコラボした啓発活動を開始したことや、HTLV-1キャリアの相談や関連疾患の診療を行う医療機関の登録を日本HTLV-1学会が開始したことについて紹介され、活発な議論が行われました。

<HTLV-1対策推進協議会>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128528


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 感染症発生情報
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■国内の感染症発生状況

◆IDWR 2018年第9週(第9号)(2018年3月16日)
 インフルエンザの定点医療機関当たり報告数は第6週以降減少が続いています。
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点医療機関当たり報告数も減少しました。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2018.html

◆インフルエンザの発生状況を公表しました(2018年3月16日)
 全国の定点医療機関当たり報告数12.05

 2018年第10週(3月5日〜3月11日)のデータを公表しました。
 全国の定点医療機関当たり報告数は12.05で、前週の17.42から減少しました。

<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html

■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2018年3月9日〜2018年3月16日掲載)

2018年03月15日 リンパ系フィラリア症の撲滅− エジプト
http://www.forth.go.jp/topics/2018/03151434.html
2018年03月14日 麻しんの発生状況−アメリカ大陸(更新)
http://www.forth.go.jp/topics/2018/03141323.html
2018年03月13日 黄熱の発生状況 − ブラジル(更新2)
http://www.forth.go.jp/topics/2018/03130926.html
2018年03月12日 ワクチン由来ポリオウイルス2型の伝播−ソマリア
http://www.forth.go.jp/topics/2018/03121259.html


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 イベント情報
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◆ −最新研究からみえてくる肝炎克服− AMED公開報告会を3月17日に開催します(主催:AMED) 
  
 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、肝炎等克服実用化研究事業の平成29年度公開報告会 −最新研究からみえてくる肝炎克服− を、3月17日にヤクルトホール(東京都港区)にて開催します。 
 本事業では、肝炎治療実績の大幅な改善につながるような研究開発を推進しています。 
  平成29年度に創出された主な研究成果について、関連分野の研究者、医療従事者、製薬企業及び医療機器業界の方々、また患者やそのご家族を含む多くの方々にご紹介する内容となっています。 
 入場は無料でどなたでも参加できます。ふるってご参加下さい。 
 プログラムや参加お申込み(事前登録制)等の詳細は以下のURLからご確認ください。 
 お申込み締め切りは、FAX・はがきの場合3月9日、インターネットからの場合3月14日です。 

<AMED公開報告会 概要> 
https://www.amed.go.jp/news/event/sympo_20180317.html 
<参加申込みページ> 
https://www.omc.co.jp/amed180317/input.html 
<開催案内リーフレット> 
https://www.amed.go.jp/content/000028739.pdf 
※参考:平成28年度 肝炎等克服実用化研究事業 公開報告会 開催報告 
https://www.amed.go.jp/news/event/kanen170311_report.html


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 コラムコーナー
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◆IDESコラム vol.15「大切なことは目に見えない」
 (IDES養成プログラム 3期生:高橋 里枝子)

 皆さんは子供の頃に読んだ思い出の本はありますか?私は、幼いころに母や姉と読んでいたサン=テグジュペリ著「星の王子さま」が今でもお気に入りです。心にしみる文章が沢山詰まった本ですが、その中でも時折ふと思い出す一言があります。「大切なことは目に見えないんだ」。この一文は、気持ちや愛情をかけた時間など、大切なことは心で見ることが重要で、それまで生きてきた「ストーリー」は見た目には必ずしも表れないことを示しています。感染症においても、これと同じことが言えます。
 どのような病原体が、どのような経路で感染するか、感染症にかかるまでの「ストーリー」は、まさに目には見えませんが、とても大切なことです。この「ストーリー」を知ることが、感染予防につながり、皆さんの命や生活を守ることにもつながります。

 今から約150年前、この目に見えない「ストーリー」を解き明かした大事件が起こりました。当時、ものが腐敗するとき、微生物が自然に発生する、いわゆる「自然発生説」が常識でした。それに対して、ルイ・パスツール氏はその常識に異を唱え、目に見えないが空気中にも微生物がおり、それが腐敗を起こしていることを訴えました。ところが、世間から、加熱により微生物を殺すことが出来るが、自然と微生物がわいてくると信じられており、パスツール氏の主張を受け入れませんでした。そこで、パスツール氏は、フラスコの口を白鳥の首のような形に変形させたフラスコを作成しました。この白鳥の首フラスコは、外界の空気は出入りするものの、落下物などの物質がフラスコ内に入らないよう特殊な形となっています。通常のフラスコは、肉汁を煮沸した後、時間をおくと、腐敗します。一方で、白鳥の首フラスコは、肉汁を煮沸しても腐敗しませんでした。そのことから、腐敗する原因となる微生物は外部から侵入し、煮沸により微生物が殺菌されるが、自然には微生物は発生しないことを示しました。
 このように、パスツール氏は、空気中の見えないものの存在を証明した人物とも言えると思います。その後、多数の研究者の貢献により、微生物が病原体になることも示され、感染症の感染までの「ストーリー」が見えるようになってきました。現在では、パスツール氏は、近代細菌学の開祖とも言われています。

 私は周囲の医師からは、「なんで感染症を専門とするの?」と、よく聞かれます。人類は、この目に見えないものである、感染症に、命を奪われ、感染症と闘ってきました。その闘いは今でも続いており、今後も、国内外の感染症との闘いは続くと思います。その人類と感染症の闘いに携わっていることに熱意を感じています。大学生の時、様々な細菌がカラフルな培地で培養されて、ガスを産生したり、多彩なコロニーを形成したりする様子を実際に見た時の感動は今でも忘れられません。目に見えないくらい少ない量の細菌が、一晩の培養で、翌日には色鮮やかに育ちます。ワクワクしながら研究していましたが、その研究も先代の研究によって、見えないものである、感染症の感染「ストーリー」を見えるようにしてきた「礎」があってのことなのだと思います。

 さて、昨日3月15日には、多くの皆さんが見えていない(知らない)感染症である「HTLV-1」の啓発ポスターとリーフレットを発表しました。HTLV-1は、約82万人もの感染者がいると言われていますが、意外と知られていない感染症です。その感染症がときに悪さをし、HTLV-1関連疾患を発病させることがあります。啓発ツールのメッセージは「HTLV-1を正しく知ってください。」としています。「HTLV-1って何?」と思われた方、ぜひ厚生労働省のWEBサイトをご覧下さい。
 私たちは、見えない感染症について、サーベイランスなどの調査やポスターなどの啓発ツールを通して、皆さまに感染症情報が見える(伝わる)ように、頑張って参ります。引き続きメルマガやtwitter、facebookなどのフォローしていただき、感染症予防の取り組みにご参加ください!

●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で2年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。


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