感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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>>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.302(2017年6月23日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
▼トピックス▼
◆手足口病が増加しています
◆咽頭結膜熱が急増しています
◆蚊媒介感染症への対策にご協力ください
▼審議会・研究会等▼
◆第21回感染症部会を開催しました(2017年6月19日)
◆新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会
(第9回)を開催しました(2017年6月22日)
▼感染症発生情報▼
◆IDWR 2017年第23週(第23号)(2017年6月23日)
◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
(2017年6月16日〜2017年6月23日掲載)
▼編集室より▼
◆「あさコラム」vol.59「金比羅」
浅沼結核感染症課長によるエッセイを不定期にお届けします
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こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。
6月19日に第21回感染症部会を、6月22日に新型インフルエンザ等対策有識
者会議 医療・公衆衛生に関する分科会(第9回)を開催しました。
また、咽頭結膜熱の報告数は引き続き増加しています。医療従事者の皆様
におかれましては、感染予防の注意喚起にご協力をお願いいたします。
詳細は本メールマガジンをご覧ください。
今後も引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。
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▼トピックス▼
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◆手足口病が増加しています
手足口病は、主にエンテロウイルスによる夏風邪の一つです。その名の通
り手や足、口(口の中、唇)に小さな水疱ができる病気です。主に子どもの
病気ですが、特に乳児では経口摂取できなくなった結果、脱水症に陥ること
や、ときに髄膜炎を引き起こし、稀ですが脳炎や新生児での心筋炎など重症
化することもあります。複数のウイルス型が存在するため、何度もかかるこ
とがあり、また、抗菌薬は効きません。
予防のために、感染者との濃厚な接触を避け、手洗い・うがいを徹底しま
しょう。
<感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について 〜手足口病〜>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-20.html
<国立感染症研究所 手足口病とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ta/hfmd.html
◆咽頭結膜熱が急増しています
咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる発熱、咽頭炎、結膜炎などをおこす
子どもに多い急性ウイルス性感染症です。以前はプールを介して感染するこ
ともあったことからプール熱とも呼ばれます。咽頭結膜熱は毎年夏に流行し
ますが、報告数は引き続き増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多
くなっています。
予防のために、十分な手洗いを行い、タオルの共有は避けましょう。
<咽頭結膜熱について>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/01.html
<国立感染症研究所:咽頭結膜熱とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/adeno-pfc.html
◆蚊媒介感染症への対策にご協力ください
デング熱やジカウイルス感染症などは、蚊によって媒介される感染症です。
通常、日本では発生の見られないこれらの蚊媒介感染症は、海外で多く発生
しています。デング熱に関しては、海外で感染し、帰国・来日した後に発症
した人が今年に入ってから6月11日までに78名が確認されています。
日本の本州以南に生息するヒトスジシマカも、デング熱などを媒介するこ
とが可能なため、海外で感染し、帰国・来日した人を起点として国内での
感染が起こる可能性があります。
なお、地方公共団体向け「デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対
応・対策の手引き」においては、海外で蚊媒介感染症に感染した方が、日本
国内でウイルス血症の時期に蚊に刺されたことが確認された場合、地方公共
団体が成虫の密度調査等により現場の評価を適宜行った上で、必要がある場
合は、成虫駆除を実施することとなっております。
国内でも蚊が多くなっていますので、海外から帰国した方も含め皆様一人
一人ができる、平常時からの蚊の対策に改めてご協力をお願いします。
蚊媒介感染症への対策としては、
�蚊に刺されない(肌の露出を少なくする、虫除け剤を使用するなど)
�蚊の発生源を減らす(家の周りの水たまりを除去・清掃)※
※ヒトスジシマカは、植木鉢の皿や古タイヤなどに溜まった小さな水
たまりに好んで産卵します。
<蚊媒介感染症>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164483.html
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▼審議会・研究会等▼
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◆第21回感染症部会を開催しました(2017年6月19日)
今回の感染症部会では、後天性免疫不全および性感染症に関する特定感染
症予防指針について小委員会から提示された改正案につき質疑が行われ、了
承されました。また、風しんの排除にむけた取組、百日咳に係る発生動向調
査の見直し、中東呼吸器症候群(MERS)への対応についても了承されました。
平成30年度における新型インフルエンザ対策については、行動計画の被害想
定に基づく抗インフルエンザ薬の備蓄、プレパンデミックワクチンの備蓄株
についての方針が了承されました。
<厚生科学審議会 (感染症部会)>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=127717
◆新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会
(第9回)を開催しました(2017年6月22日)
6月22日に「新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関す
る分科会」が開催され、新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザ
ウイルス薬の備蓄について審議されました。6月19日に開催された厚生科学審
議会感染症部会での審議を踏まえて議論がなされ、新型インフルエンザ対策
として、全重症患者への倍量・倍期間投与を行うことを考慮した抗インフル
エンザウイルス薬の備蓄を見直すべきとの結論を、有識者会議に報告するこ
とになりました。
<新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会(第9回)>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000168795.html
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▼感染症発生情報▼
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■国内の感染症発生状況
◆IDWR 2017年第23週(第23号)(2017年6月23日)
咽頭結膜熱の定点医療機関当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の
同時期と比較してかなり多くなっています。
今週は、注目すべき感染症として手足口病を取り上げています。
2017年の報告数はこれまでの同時期と比較して患者報告数の多い状態が続い
ており、その発生動向には注視する必要があります。
<IDWR 感染症発生動向調査週報>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2017.html
■海外の感染症発生状況
◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
(2017年6月16日〜2017年6月23日掲載)
2017年06月22日 E型肝炎の発生− チャド
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06221053.html
2017年06月22日 アメリカ大陸における結膜炎の流行
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06220915.html
2017年06月21日 コレラの発生状況− ソマリア(更新6)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06211334.html
2017年06月21日 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の発生報告(更新10)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06211157.html
2017年06月21日 コレラ流行の再興− イエメン (更新4)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06210923.html
2017年06月20日 髄膜炎菌感染症の発生報告− ニジェール
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06201352.html
2017年06月20日 ヨーロッパにおける麻しんの流行 (更新4)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06201259.html
2017年06月19日 髄膜炎菌感染症の発生報告− ナイジェリア(更新)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06191128.html
2017年06月16日 E型肝炎の発生− ニジェール(更新)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06161320.html
2017年06月16日 コレラ流行の再興− イエメン (更新3)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06160953.html
2017年06月16日 コレラの発生状況− ソマリア(更新5)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06160843.html
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▼編集室からのお知らせ▼
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◆「あさコラム」vol.59「金比羅」
こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
森鴎外氏といえば、陸軍軍医として各地に赴き、1907 年(明治40年)から
1916年(大正5年)まで陸軍軍医総監・陸軍省医務局長として活躍されましたが、
ご存じのとおり、明治時代の大文豪でもあります。
前回ご紹介した浄閑寺に詩碑がある作家の永井荷風氏によりますと、「明
治の精神を知るには、森鴎外を読め」とのこと。
そんなエリートでインテリゲンチャの鴎外氏の小説は、「舞姫」「雁」
「山椒大夫」「高瀬舟」などが有名ですが、その作品のひとつに1909年(明
治42年)年発表の「金比羅」があります。
ある冬の1月、小野博士は香川県高松市で心理学の講演後、琴平までやって
きました。
「金毘羅さまは荒神だから無視をするとたたられる」との忠告を受けた博
士ですが、金毘羅さまに詣でることなく帰京することに。
博士が帰宅すると、二人の姉弟の子どもが急性気道感染症の百日咳にり患。
博士と奥さんは子どもたちの看病に尽くしましたが、生後半年の赤ん坊の
弟は尿毒症を発症して亡くなりました。
その時、奥さんは叱られるかもと言いながら、湯(風呂)の中で姉弟が溺
れ、姉は大きいから生き戻ったが赤ん坊が駄目だったという「夢」を見たと
の話をしたところ…という物語です。
実際、鴎外氏の長女と次男の二人の子どもが、1908年(明治41年) に百日
咳にり患し、次男は死亡、長女は危篤となりました。
その時の鴎外氏の経験が、この「金比羅」という私小説に近いかたちで発
表され、その後は「高瀬舟」などの作品にも影響を与えています。
それほどまで当時の百日咳は、子どもの死因としてのインパクトが非常に
大きい感染症だったのです。
戦後、1950年(昭和25年)頃までは、百日咳の患者数は10万人ほど、死亡
率は10%、1万人以上の患者さんが百日咳で亡くなられていました。
しかし、予防接種法が制定され、百日咳のワクチン接種が始まると着実に
患者数・死亡者数は減少し、現在、2012年(平成24年)に導入された「4種混
合ワクチン(DPT-IPV)」の定期接種を実施しているところです。
その効果もあり、感染症発生動向調査における百日咳の発生状況は、過去
30年で約10分の1に減少しました。
その一方で、厚労省研究班によりますと、15歳以上の百日咳の発生割合が
増加しているとの推計(60%近くが15歳以上)が報告されています。
つまり、思春期の若者や大人の感染者の割合が増えてきている状況なので
すが、実は、百日咳は小児科定点把握の感染症なので、成人の発生動向につ
いて、現時点では正確には把握できていません。
大人が感染しても重症化することはまれな百日咳ですが、り患した大人か
らワクチン未接種の乳児に感染してしまったら…。
その対策を進めるためにも、子どもに限らず、大人も含めた百日咳の発生
動向について、より正確かつ詳細に把握をすることが必要な時期になってき
ました。
そこで、先日(2017年[平成29年]6月19日)の第21回厚生科学審議会感染
症部会において、感染症法に基づく5類感染症である百日咳を、小児科定点把
握から全科からの全数把握の疾患として位置づけたい旨を、届出基準案や届
出票も含めてご審議をしていただきました。
「どの国も百日咳対策に苦しんでいる中、わが国が率先して全数把握をす
ることは大賛成」、「類似症状のマイコプラズマ肺炎との鑑別等ができる様
な届出とすべき」などのご意見を賜りつつ、この方針につきまして、感染症
部会からご了解を得ることができました。
今後はパブリックコメントの実施、感染症法施行規則等の改正などを進め
ていきたいと思っています。
より正確かつ詳細な百日咳の発生動向が把握できれば、そのデータに基づ
き、次なる効果的な対策を打つことができます。
届出をお願いする医療現場や関係行政機関の皆様のご負担は増えるかもし
れませんが、こうした百日咳の状況についてご理解を頂き、ご支援を頂けれ
ば幸いです。
明治時代の鴎外氏の次男に起きた悲劇を、現代で繰り返す訳にはいきませ
ん。
一人でも多くの生命を守りたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
<本コラムの感想、ご質問、ご要望など>
http://kansenshomerumaga.mhlw.go.jp/
<あさコラム バックナンバー>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116724.html
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