感染症エクスプレス@厚労省
バックナンバー
メールマガジンのバックナンバーです。

2017-06-16

感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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   >>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.301(2017年6月16日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
▼トピックス▼
 ◆咽頭結膜熱が急増しています
▼感染症発生情報▼
 ◆IDWR 2017年第22週(第22号)(2017年6月16日)
 ◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
  (2017年6月9日〜2017年6月16日掲載)
▼編集室より▼
 ◆「あさコラム」vol.58「仁術」
   浅沼結核感染症課長によるエッセイを不定期にお届けします

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 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。
  
 咽頭結膜熱の報告数は前週に引き続き増加しています。医療従事者の皆様にお
かれましては、感染予防の注意喚起にご協力をお願いいたします。

 詳細は本メールマガジンをご覧ください。

 今後も引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。

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▼トピックス▼
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◆咽頭結膜熱が急増しています

 咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる発熱、咽頭炎、結膜炎などをおこす
子供に多い急性ウイルス性感染症です。以前はプールを介して感染すること
もあったことからプール熱とも呼ばれます。咽頭結膜熱は毎年夏に流行しま
すが、報告数は前週に引き続き増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり
多くなっています。
 予防のために、十分な手洗いを行い、タオルの共有は避けましょう。

<咽頭結膜熱について>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/01.html
<国立感染症研究所:咽頭結膜熱とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/adeno-pfc.html


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▼感染症発生情報▼
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■国内の感染症発生状況

◆IDWR 2017年第22週(第22号)(2017年6月16日)

 咽頭結膜熱の定点医療機関当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の
同時期と比較してかなり多くなっています。
 また、手足口病、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点医療機関当たり報告
数も増加が続いています。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2017.html


■海外の感染症発生状況

◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
 (2017年6月9日〜2017年6月16日掲載)
2017年06月14日 ワクチン由来ポリオ2型の発生 −シリア、コンゴ民主共和国
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06141440.html
2017年06月14日 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の発生報告(更新9)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06141127.html
2017年06月13日 ヨーロッパにおける麻しんの流行 (更新3)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06131111.html
2017年06月09日 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新17)
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06091332.html
2017年06月09日 ラッサ熱の発生状況− ナイジェリア
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06091038.html


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▼編集室からのお知らせ▼
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◆「あさコラム」vol.58「仁術」

 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
 各地で梅雨入りしてきました。梅雨の時期は、カビや細菌の繁殖が早く、
食中毒などの原因となることもしばしば。
 食中毒を未然に防ぐためにも、食品の衛生について一層のご留意をお願い
いたします。

 さて、医療マンガといえば、私の世代だと「ブラックジャック」や
「Dr.クマひげ」、「メスよ輝け!!」あたりですが、今回取り上げるのは、
「JIN-仁-」。
 東都大学付属病院の脳外科医・南方仁(みなかたじん)が、2000年
(平成12年)から1862年(文久2年)の江戸にタイムスリップ。
 幕末の動乱に戸惑いつつも、現代医学の知識と技術を駆使しながら、医学
を志す仲間と協力して江戸の人々を救っていくという作品です。
 坂本龍馬や勝海舟、緒方洪庵、ウィリアム・ウィリスなど、実在した人物
も多数登場する大ヒットマンガで、テレビドラマ化もされました。

 慢性硬膜下血腫、乳がん、脚気など様々な病気を取り上げている「JIN-仁-」
ですが、もちろん感染症も例外ではありません。
 麻しんやコレラなどが題材として取り上げられていますが、圧巻なのは梅
毒の話。
 吉原遊郭の花魁や遊女が梅毒で苦しむ姿を憂いた仁が、梅毒の検診を進め
ようとするも、治療法もない上、仕事も取られかねないと、遊女たちから拒
否されます。
 そこで、仁は、過去の人間の運命や歴史を変えてしまうことに憂慮しなが
らも、治療薬ペニシリンを天然の青カビから作ることに成功。
 江戸の医療界に一石を投じる、というストーリーです。

 剣道マンガ「六三四の剣」の作者である村上もとか先生が、「JIN-仁-」
を描くにあたり、強く心を動かしたのは『江戸の性病〜梅毒流行事情』(苅
谷春郎著)という一冊の本。
 これによると、当時の遊女たちは梅毒などの性感染症のり患もあり、平均
寿命は22歳程度とのこと。
 若くして命を失う女性たちを、せめてマンガの世界だけでも助けることが
できないものか。
 この口惜しい思いが原動力となり、村上先生が医学や薬学の専門家に取材
を重ね、構想を練り、医学史の大家・酒井シヅ先生らの監修のもと
「JIN-仁-」は、2000年(平成12年)から2010年(平成22年)まで10年にわ
たる長期連載作品となりました。

 「JIN-仁-」の梅毒の話を読むたびに、梅毒にり患した吉原の遊女たちが、
余命幾ばくもない時の気持ちが如何様だったのか。
 梅毒の感染者数が増加している昨今だからこそ、なおのこと、私も切ない
気持ちになります。

 そうした中、先日、荒川区南千住にある浄閑寺(じょうかんじ)さんにお
参りに行ってきました。
 「生まれては苦界、死しては浄閑寺」と花又花酔氏の川柳で詠まれた浄閑
寺さんには、1855年(安政2年)の大地震で被災した500人あまりの吉原の遊
女たちが葬られています。
 こうした遊女たちや行き倒れの方など、門前に投げ込まれた身寄りのない
ご遺体を供養する寺院を「投げこみ寺」と称し、日本各地に存在しています。
 「三ノ輪の投げこみ寺」と呼ばれる浄閑寺さんもそのひとつで、境内にあ
る「新吉原総霊塔」には、江戸時代の新吉原創業から昭和の廃業時まで、安
政大地震や関東大震災の被災者も含め、総計推定25,000人の身寄りのない遊
女らが供養されているとか。
 ペニシリンもなく治療もできず、若くして梅毒で亡くなられた遊女の皆さ
んのご冥福をお祈りするとともに、現在の梅毒の流行が収まるよう、また、
梅毒の予防と検査、早期治療が進むようにと、総霊塔にお線香をあげて願を
かけてきました。
 なお、浄閑寺さんの入り口には、吉原の遊女・小夜衣を供養する「小夜衣
供養地蔵尊」という小さなお地蔵さんがあります。
 「悪い部分を撫でると良くなる」と言い伝えがあり、私も手を合わせた後、
あちこち地蔵尊を撫でてまいりました。

 国立感染症研究所の感染症週報によりますと、2017年(平成29年)第22週
(6月4日)までの梅毒の報告は累積で2,096名。
 現在の届出方式になった1999年(平成11年)以降、最も速いペースで増え
ています。
 普及啓発、予防と検査、そして早期治療。
 梅毒対策、待ったなしです。
 皆さん、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。


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