感染症情報を医療者へダイレクトにお届けする、厚生労働省のメールマガジン
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┃感┃染┃症┃エ┃ク┃ス┃プ┃レ┃ス┃>>>>>>>>>>>>>>
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>>>>>>>>>┃@┃厚┃労┃省┃Vol.260(2016年8月19日)
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■ヘッドライン■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
▼トピックス▼
◆マダニにご注意ください
◆蚊媒介感染症の国内発生に備えて〜その1〜(2016年8月19日)
◆横浜検疫所の施設公開のお知らせ(2016年8月20日開催)
▼審議会・研究会等▼
◆平成27年の結核登録者情報調査年報の集計結果を公表しました
(2016年8月12日)
▼感染症発生情報▼
◆IDWR 2016年第31週(第31号)(2016年8月19日)
◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報
(2016年8月5日〜8月19日掲載)
▼編集室より▼
◆「あさコラム」vol.17「西のマダニ、北のマダニ」
浅沼結核感染症課長によるエッセイを不定期にお届けします
◆お詫び
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こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課です。
リオ五輪も子どもたちの夏休みも後半にさしかかりました。まだ、夏休
みの宿題の自由研究が終わっていなければ、是非、横浜検疫所の施設公開
へ。
夏休みのレジャーで森林や草むらに入る場合には、ダニや蚊などに注意
し、ダニ・蚊が媒介する感染症を防ぎましょう。
詳細は本メールマガジンをご覧ください。
今後も引き続き『感染症エクスプレス@厚労省』をご活用ください。
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▼トピックス▼
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◆マダニにご注意ください
ダニ媒介脳炎や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を含むダニ媒介感
染症を予防するためには、マダニに咬まれないようにすることが大切で
す。農作業やレジャーなどで、森林や草むら、ヤブなどに入る場合には
注意しましょう。
長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長
靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う
靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、
肌の露出を少なくしましょう。
咬まれていることに気づいたら無理に引き抜こうとせず、医療機関
(皮膚科)で処置を受けてください。
また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発
熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けてください。
感染症法に基づく届出対象のダニ媒介感染症の患者を医師が診断した
場合には、直ちに届出が必要となります。
医療機関の皆様におかれましては、引き続きご協力お願いします。
<厚生労働省:ダニ媒介脳炎>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133077.html
◆蚊媒介感染症の国内発生に備えて〜その1〜(2016年8月19日)
2014年8月に約70年ぶりにデング熱の国内感染例が発生しましたが、
今夏もデング熱やジカウイルス感染症などの蚊媒介感染症の国内発生の
対策を備えておくことが重要です。その対策などを連載でご紹介します。
自治体の皆様におかれましては、国内発生が起きた際には、下記手引
きに基づいて適切に対応をお願いします。
○積極的疫学調査の実施
患者から発症14日前〜発症5日目の期間の屋外活動の詳細を聞き取
り、推定感染地の絞り込み及び感染拡大の可能性の確認をしてくださ
い。
○推定感染地の検討
ヒトスジシマカの成虫密度は5〜8月に急増してピークに達し、その
後9〜10月にかけて激減します。
蚊媒介感染症が、蚊の増加期に起きた場合は、幼虫と成虫の両方へ
の対策を実施する必要があります。
この場合、緊急対策として、まずは成虫調査を実施し、生息密度が
高い場所から優先的に成虫対策を実施することが重要です。
そして、幼虫対策としては、平常時の対策に準じて、小さな水たま
りをなくすなど発生源対策を実施してください。
○駆除作業
即効性の高い成虫駆除方法は、殺虫剤の散布ですが、駆除作業の前
と後で生息密度調査の結果から駆除効果を判定することが重要となり
ます。
感染症は予防対策とともに、感染症の発生に対し、迅速かつ的確に対
応できる体制を整えておくことが重要です。
引き続き、蚊媒介感染症対策にご協力お願いします。
<厚生労働省:デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引き>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000131652.pdf
◆横浜検疫所の施設公開のお知らせ
8月20日(土)、横浜検疫所にて、施設公開を実施いたします。
横浜検疫所では、広く地域住民の皆様にその業務内容をご理解いただ
くため、「検疫の軌跡が残る検疫資料館も含めた施設公開」を実施いた
します。
特に、夏休みの子どもたちには、感染症のこと、輸入食品のことなど
について、分かりやすく、楽しみながら理解してもらうため、クイズや
スタンプラリー、数々の実技体験なども企画しています。
また、本年度の特別企画として、食品の安全について正しい知識や科
学的なものの考え方を学んでいただくために、「科学の目で見る食品安
全」と題したサイエンスカフェも開催いたします。
多くの皆様のご来場をお待ちしております。
<厚生労働省検疫所:平成28年度横浜検疫所施設公開について>
http://www.forth.go.jp/keneki/yokohama/01_info/pdf/28shisetsukoukai.pdf
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▼審議会・研究会等▼
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◆平成27年の結核登録者情報調査年報の集計結果を公表しました
(2016年8月12日)
平成27年1月1日から12月31日の間に全国の保健所を通じて報告された
結核登録者の状況をとりまとめて公表しました。
平成27年に新たに結核と診断された患者数は18,280人と、前年から
1,335人減少しました。また、罹患率(※)は14.4と前年から1.0減少し
ました。
患者数や罹患率は近年、減少傾向にありますが、日本はいまだ低まん
延国の水準である罹患率10.0には至っておらず、結核が我が国の主要な
感染症であることに変わりはありません。
診断の遅れが感染拡大につながる恐れがありますので、医療関係者の
皆様におかれましては、咳が続いたり、痰が出る等の症状を訴える方が
受診された際、結核の可能性も視野に入れた診療をお願いいたします。
※罹患率:人口10万人対の新登録結核患者数
<厚生労働省:平成27年結核登録者情報調査年報集計結果>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000132952.html
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▼感染症発生情報▼
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■国内の感染症発生状況
◆IDWR 2016年第31週(第31号)(2016年8月19日)
流行性耳下腺炎の定点医療機関当たり報告数は減少しましたが、過去5年
間の同時期と比較してかなり多くなっています。
RSウイルス感染症の報告数は増加しました。また、手足口病、感染性胃
腸炎(ロタウイルスに限る)の定点医療機関当たり報告数は増加しました。
IDWR(感染症発生動向調査週報)2016年第31週(第31号)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2016.html
■海外の感染症発生状況
◆厚生労働省検疫所(FORTH):海外の感染症情報(2016年8月5日〜8月19日掲載)
2016年08月19日ジカウイルス感染症の発生状況 (更新27)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08191011.html
2016年08月18日ポリオの発生に対する対策を開始 −ナイジェリア
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08181532.html
2016年08月18日鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新10)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08181031.html
2016年08月17日コレラの流行発生について −中央アフリカ共和国
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08171133.html
2016年08月17日腸管出血性大腸菌の発生について−イギリス(更新)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08171048.html
2016年08月15日黄熱の発生状況(更新15)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08151030.html
2016年08月12日野生型ポリオの発生 −ナイジェリア
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08121541.html
2016年08月12日ジカウイルス感染症の発生状況 (更新26)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08121441.html
2016年08月10日チクングニア熱の発生について−ケニア
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08101121.html
2016年08月08日アジア・大洋州におけるデング熱の流行
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08081505.html
2016年08月08日黄熱の発生状況(更新14)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08081127.html
2016年08月05日ジカウイルス感染症の発生状況 (更新25)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08051520.html
2016年08月05日WHOからのオリンピックへの旅行者に向けた健康アドバイス(その2)
http://www.forth.go.jp/topics/2016/08041457.html
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▼編集室からのお知らせ▼
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◆「あさコラム」vol.17「西のマダニ、北のマダニ」
こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
リオ五輪、日本選手の熱い戦いをTV中継で観るために、毎晩寝不足になっ
ている方も多いのではないでしょうか?
わが国のメダルラッシュもさることながら、国を問わず出場選手の健闘ぶり
を見るたびに、感動を覚えます。
そんなリオ・デ・ジャネイロですが、報道によると当局の徹底した蚊の駆除
により、蚊がほとんどいないという状況だとか。
とはいえ、ブラジルが蚊媒介感染症の流行国であることには違いはありませ
ん。今後も油断せず、ブラジルからの帰国者を中心とする蚊媒介感染症対策に
努めていきます。
しかし、蚊以外にも、小さくても、ヒトに恐怖を与える厄介な生き物がいま
す。
それはダニです。
刺されるとかゆい、発赤や腫れを起こす、アレルギーの原因となるなど、ダ
ニはヒトの健康に様々な悪影響を与えます。
ダニの種類は確認されているだけで2万種を越えているそうですが、中でも、
今回のトピックスにも取り上げられたマダニは感染症対策上、注意すべきダニ
の一つです。
マダニに刺されると、日本紅斑熱やライム病などの感染症にり患することが
知られていますが、特に問題となっているのは「重症熱性血小板減少症候群
(以下、SFTS)」です。
SFTSは平成23年(2011年)に命名された感染症で、SFTSウイルスを持ったマ
ダニに刺されてウイルスに感染します。
6日〜2週間の潜伏期間を経て発症した場合、発熱、嘔吐、下痢などを起こ
し、致死率は6〜30%程度とのこと。
このウイルスを持ったマダニは国内で広く分布していますが、感染症発生動
向調査によりますと、これまでに203人の患者さんが西日本の20府県から届出
られています。
このうち48人の方が、残念にも亡くなられましたが、現在のところ特異的
な治療法はなく、対症療法が中心となる感染症です。
また、今年7月には、北海道でマダニに刺された方が「ダニ媒介脳炎」を発
症したことが確認されました。
フラビウイルスであるダニ媒介脳炎ウイルスを持ったマダニに刺されること
によりウイルスに感染し、7〜14日の潜伏期間を経て、発熱や神経症状を呈す
る感染症です。
致死率はウイルスによって数%〜20%と言われています。
わが国では、平成5年(1993年)以来2例目の発症でしたが、感染した方は残
念にもお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
このような重篤な感染症を引き起こすマダニに対しては、徹底的に戦ってい
かなければなりません。
では、戦い方はどうするか?
まずは、マダニに刺されないこと。
特に、マダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに咬まれる危険性
が高まります。
農作業や野山を散策をする場合、長袖・長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、
手袋を着用し、肌の露出を少なくすることが大事です。
草むらやヤブなど、マダニが多く生息する場所に入る時は、特に注意が必要
です。
マダニの付着が確認できるよう明るい色の服を着るなどの工夫をするととも
に、ディートなどの虫除け剤を活用することも効果的です。
また、マダニに刺された場合、皮膚科等を受診して皮膚の刺し傷を確認して
もらい、炎症を起こしている場合は治療をしてもらいましょう。
そして、数週間は体調の変化に注意をはらい、発熱等の症状が認められた場
合は、急いで医療機関で診察を受けて下さい。
オリンピックも感染症対策も、戦い方が重要です。
草むらなどには極力入らない、入る時は肌の露出を少なくするなど、マダニ
に勝つためには防御の戦術を取ること。
その結果、生命のメダルを死守することになります。
チームニッポン、よろしくお願いいたします。
<本コラムの感想、ご質問、ご要望など>
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<バックナンバー>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116724.html
◆お詫び
前回Vol.259(2016年08月05日)にて、国連HIV/エイズ・ハイレベル会合報
告会の記事を掲載いたしましたが、リンクページ<外務省:国連HIV/エイズ
・ハイ レベル (概要)>に誤りがございました。
(誤)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kansen/un_hiv1106.html
(正)http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page23_001525.html
この場を借りて、読者ならびに関係者の皆様にお詫び申し上げます。
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